GIANT ESCAPE R3 - 2022/02 完成
はじめに
4年振りに新しい自転車を組み上げました。
今回組み上げたのは、ジャイアントの"Escape R3"というクロスバイクです。"Escape R3"は、とてもポピュラーなクロスバイクで、ジァイアントの日本法人の企画によって2004年に製品化された息の長いモデルです。
定年退職後の私の勤務先は街乗り用自転車の販売と修理が中心の街の自転車店ですが、"Escape R3"は通勤通学や日常利用の足として一定の需要があるので、常時在庫しています。そのため、販売やメンテナンスの機会も多く、その素性の良さ(フレームの仕上がりや精度、ジオメトリ、パーツのグレードアップがしやすい規格の採用等)から、比較的ローコストでのグレードアップ構想を以前から考えるようになっていました。(右の画像は2022年モデル)
"Escape R3"にはXXS・XS・S・Mの4種類のフレームサイズが用意されており、私が購入したのはM(500mm)サイズです。M(500mm)サイズのフレームのジオメトリは以下のようになっています。
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シートチューブ(A):500mm
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トップチューブ(C):565mm
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リヤセンター(G):430mm
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BB下がり(H):67mm
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フォークオフセット:45mm
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シートアングル(B):74°
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ヘッドアングル(E):72.5°
また、BB幅は68mm(BSA)、エンド内幅はF100mm/R130mm、スレッドレスコラム径は1・1/8inchです。
以上に示したように、"Escape R3"のジオメトリや規格は一般的なロードレーサーのそれにほぼ準じており、パーツのグレードアップも容易であることから、自分好みの仕様に仕立て直せる点が、今回の購入の決め手となりました。
なお、2022年モデルの部品構成等については、ジャイアントの
Escape R3 公式Webサイトを参照して下さい。
1.パーツ変更の趣旨
一言で書くと「普段使いに使えるオールカンパニョーロのクロスバイクを作る」ということです。
一般的なクロスバイクは日常の使用に使いやすいフラットハンドルバーといわゆるVブレーキを装備しています。カンパニョーロもロードバイクにストレートハンドルを装備するフラットバーロードやクロスバイクのニーズを見込んだのか、2005年にはフラットバーシフター、2006年にはリニアプル・カンチレバーブレーキを発表しました。もっとも、リニアプル・カンチレバーブレーキは短命で、カタログに掲載されていたのは2008年までの3年間のみでした。
私は幸いどちらも購入してありましたし、自転車趣味に復帰した1999年以降に所有した700Cホイール装備の旅行車やロードレーサーの仕様変更等によって、余剰となったカンパニョーロ部品もそこそこ保管しています。
このような状況のもと、"Escape R3"のサドルとハンドルグリップ以外のパーツをすべて換装し、普段使いに使えるオールカンパクロスバイクを組むことにした次第です。
2.フレームの改修:フロントフォーク換装
ジャイアントのアルミフレームには、材質と成型方法、溶接技術別に3種類のグレード、"ALUXX SLR"、"ALUXX SL"、"ALUXX"が用意されています。
"Escape R3"は普及価格帯の車種なので、"ALUXX"フレームですが、トップチューブとダウンチューブは複雑な断面形状に成形されており、シートステーとチェーンステーはベンド加工されているなど、この価格帯のクロスバイクとしてはかなり凝ったフレームに思います。
フロントフォークは、公式Webサイトによれば、衝撃吸収性を高めるクロモリ素材で、安定したハンドリングのためのベンド形状と説明されていますが、かなり重たいのが難点です。
実際、ネット上でも"Escape R3"の改造事例が多数公開されていますが、フロントフォークをカーボンフォークに換装して軽量化した例が多数見受けられます。
私も"Escape R3"の購入前から、カーボンフォークへの換装は考えており、ベンド形状のVブレーキ台座付きの製品に絞って検討した結果、東京サンエスの"OnebyEsu OBS-CBC クロスベンドカンティカーボンフォーク"に換装しました。
この製品は、フォークオフセットが45mmで肩下寸法も"Escape R3"のクロモリフォークとほぼ同じなので、フレーム体としてのジオメトリ変化は無視出来る範囲であることも選択の決め手となりました。
購入後は、ジャイアントから補修部品として取り寄せたクラウンレースを打ち込み、自分の適性ポジョンに合わせてコラムカットするだけで、無事換装出来ました。
3.パーツ構成
以下、カンパニョーロの部品については会社名を省略し、カンパニョーロ以外の部品については、原則として会社名を記載しています。
- ホイール系
"Escape R3"には、ジャイアントオリジナル完組ホイール"SPINFORCE LITE"とジャイアントオリジナル30Cタイヤが装備されています。
上記ホイールに代えて今回交換したホイールは、保有自転車の中の1台である"GIOS*torino Super Record"のスペアホイールだったもので、コーラス2006年モデルのハブとマビックオープンプロクリンチャーリムをDTのスポークで組み上げたホイールです。タイヤは路面をあまり選ばないで走れる"パナレーサーグラベルキング28C"を履かせています。
マッドガードはギザプロダクツの"SW-819"です。この製品のみならず市販のフルガードはフロントが短めなので、2セット用意して、フロントガードはリヤガードを自分好みの長さに切断して装着しています。
- 駆動系・変速系
チェーンホイールは20年ほど前に使っていたレーシングトリプルのクランクにTAのトリプルチェーンリングの組み合わせです。クランク長は170mm、歯数は48-39-28Tです。
チェーンリングは変速性能だけ考えれば、カンパニョーロ純正チェーンリングのままで良いのですが、私は以前から表面仕上げや製品名の綺麗な刻印のTAのチェーンリングが好みで、今回もTAを選択しています。
ボトムブラケットはケンタウルで、公式資料上はオーバーサイズシートチューブの場合、軸長は115.5mmが指定されていますが、手持ちの111mmでも問題ありませんでした。
変速機はリヤがヴェローチェのショートケージ2007年モデル、フロントがケンタウルのトリプル用2006年モデル、スプロケットは10枚の歯がバラバラになるタイプのケンタウルUDで、歯数は13-29Tです。
なお、フロント48-39-28T、リヤ13-29Tの場合、公式資料ではリヤディレイラーはミドルケージ以上を組み合わせるよう指定していますが、実際にはショートケージでもすべてのギヤ比が使用可能です。
シフターはブレーキレバーと一体化されているヴェローチェフラットバー・シフターの2007年モデルです。公式資料によれば、このシフター使用時のフロントディレイラーはパンタグラフ部分のグレード名に"FB"の文字が付加されている製品の使用が指定されていますが、保有している"FB"の文字が付加されていないディレイラーでも変速時はきちんとシンクロし、特に支障はありませんでした。
チェーンはコーラスの10速用をKMCのミッシングリンクで接続しています。
ペダルは片面SPDのディズナFPです。
- ブレーキ系
ブレーキ本体はヴェローチェリニアプルカンチレバーブレーキの2007年モデルです。このブレーキは一般的にはショートVブレーキと言われるものに相当し、アーム長が85mmです。
このブレーキは発売当時に購入してあったもので、使う機会が無いまま長い間保管していましたが、今回ようやく使用機会が訪れたというところです。
実際に使ってみると、ブレーキレバーを握り込んだ時の感触はシマノのようなカチッとしたものではありませんが、ブレーキの効きは予想以上で、しっかり減速することが出来ます。ただし、ブレーキシューの補修部品が見つかっておらず、交換時期になったら、ロード用を使うことになりそうです。
- ハンドル系
ハンドルバーとステムはどちらもリッチーで、ハンドルバーはWCS 2X、ステムはWCS 4-AXIS MATRIX CARBON ALLOYです。
ハンドルバーは幅740mmのモデルですが、国内交通法規と自分の好みに合わせて、560mmに詰めてあります。
グリップは標準装備品のジャイアントオリジナルエルゴグリップをそのまま使用していますが、右側のグリップ端部にはハンドルバー内径の大きさの穴を開けて、キャットアイのバーエンドミラーBM-45を取り付けています。
ハンドル中央部にはリクセンカウルのフロントアタッチメントを取り付けてあり、用途に合わせてバスケットやバッグを装着します。
- サドル系
サドルは標準装備品のジャイアントオリジナルコネクトコンフォートです。
このサドルは別売りのテールライト、サドルバッグ、ワイヤー錠等をスマートに装着可能なユニクリップシステム対応品で、オプションアクセサリのテールライトとサドルバックを取り付けました。余計な取り付けバンド類が無いため、スッキリとしています。
シートピラーはリッチーのWCSカーボンです。
- 電装品
ヘッドライトはキャットアイの"AMPP300"です。キャットアイのセンターフォークブラケットを使って、フロントフォークに取り付けました。
テールライトはジャイアント純正オプションの光・モーションセンサー付き"NUMEN+ UNICLIP TL"を純正サドルに装備しました。
- その他アクセサリー
ボトルケージはギザプロダクツのペットボトル用とミノウラのAB100-4.5、ポンプはトピークのマイクロロケット AL マスターブラスターです。
コンピュータは低価格なGPSサイクルコンピュータのXOSS G+ です。
また、日常用途ではスタンドがあった方が便利な場合もあるので、"U-LIX"の脱着式携帯スタンドを採用してみました。これはワンタッチで脱着可能で、取り外したスタンドは3つに折りたためる、なかなかのアイデア商品です。
4.スペック
注.以下は2022年2月現在の仕様です。重量はギリギリ10kgを切ることが出来ました。
フレーム |
基本仕様 |
ジャイアントALUXX-Grade Aluminum 、JULONGセミカートリッジヘッドセット |
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寸法 |
フレームサイズ:500mm(C-T)、トップ:565mm(水平換算)、リヤセンター:430mm、エンド内巾:F100-R130mm
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フロントフォーク |
東京サンエス ワンバイエス OBS-CBC クロスベンドカンティカーボン |
ホイール |
ハブ |
カンパニョーロ コーラス(32H) |
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スポーク |
DT
チャンピオン ステンレス(#15) |
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タイヤ |
パナレーサー グラベルキング(700×28C) |
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マッドガード |
ギザプロダクツ SW-819(35mm幅) |
駆動系 |
クランク |
カンパニョーロ レーシングトリプル(170mm) |
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チェーンリング |
TA
VENTO アウター・ミドル、TA ZELITO インナー(48×39×28T) |
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ボトムブラケット |
カンパニョーロ ケンタウル(軸長111mm BSA) |
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スプロケット |
カンパニョーロ ケンタウルUD(13-29T) |
変速機系 |
フロント変速機 |
カンパニョーロ ケンタウル トリプル用 2006年モデル |
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リヤ変速機 |
カンパニョーロ ヴェローチェ 2007年モデル |
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シフト機構 |
カンパニョーロ ヴェローチェ フラットバー・シフター 2007年モデル |
ブレーキ系 |
ブレーキ本体 |
カンパニョーロ ヴェローチェ リニアプル・カンチレバーブレーキ 2007年モデル |
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ブレーキレバー |
カンパニョーロ ヴェローチェ フラットバー・シフター 2007年モデル |
ハンドル系 |
ハンドルバー |
リッチー WCS 2X(560mmに幅詰め) |
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ステム |
リッチー WCS 4-AXIS MATRIX CARBON ALLOY(110mm) |
サドル系 |
サドル |
ジャイアントオリジナル コネクトコンフォート |
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シートピラー |
リッチー WCS CARBON(27.2mm) |
電装品 |
ヘッドライト |
キャットアイ AMPP300 |
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テールライト |
ジャイアント純正 光・モーションセンサー付き NUMEN+ UNICLIP TL |
その他 |
ポンプ |
トピーク マイクロ ロケット AL マスターブラスター |
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ボトルケージ |
ギザプロダクツ(ペットボトル用)、ミノウラ AB100-4.5 |
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バックミラー |
キャットアイ バーエンドミラー BM-45 |
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コンピュータ |
GPSサイクルコンピュータ XOSS G+ |