追憶のカタログ展Part69:1965年 城東工具

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追憶のカタログ展


− Part69:1965
年 城東工具 −

 Part69は1965年の城東工具製作所のカタログです。現在は Fausto COPPI の日本総代理店として知られている城東輪業社(JOTO)と関係あるのかどうかはわかりません。ただし、城東工具製作所自体はいまでも会社として存続しており、同じ東成区にありますね。

  本カタログの目次構成は、サイクリング車用工具、一般自転車用工具、輸入工具"VAR"の3種類に分かれています。その中には今でも見かけるものや私自身も持っているものも掲載されており、かなり商品寿命の長いものもありそうです。タイヤレバー、万能スパナ、"VAR"の携帯用チェン切りなどをお持ちの方も多いのでは無いでしょうか。

 また、本サイトをご覧いただいている皆様にはあまり馴染みは無いかと思われますが、一般自転車用工具の中には、古くからの町の自転車店で今でも使っているものが多々あります。私は学生時代に町の自転車店で長くアルバイトをしていたので、掲載されている工具の中には散々使い回したものもあって、懐かしくなりました。精密なスポーツ車のメンテナンスをご自分でなさっている人から見たら、「そんな乱暴な・・・」と思われるような使い方の工具もありますが、一般用自転車の整備上欠かせないものばかりです。

 ただし私が使っていた一般自転車用工具の多くはホーザン製だった記憶があります。もしかしたら自転車工具はホーザンに引き継いだのかもしれないなどと思いましたが、全くの類推でしかありません。詳細をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけると幸いです。

 なお約50年前のカタログで紙質も劣化しているため、スキャン後に出来る限り修正はしたものの、見づらい点がありましたらご勘弁下さい。

本カタログは大阪のN・M様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

 注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。


 

 

 表紙です。
 トレードマークのデザインがいかにも60年代という感じがします。

 

 

 こちらは目次です。

 

 

 ここから本文で、最初はサイクリング車用工具です。

 このページは携帯工具セットです。昔はこのように何種類かの工具を組み合わせたセットが売られていましたね。ただし左のAセットに含まれている板スパナは実際には使いづらいもので、結局は8-9、10-12あたりのスパナを購入したものでした。

 現在はもっとコンパクトなハンディツールの種類が豊富になったので、このようなセットはあまり使われなくなりました。

 右のBセットに「前後芯ナット用板スパナ」が入っていますが、今のスポーツ車はQRハブがほとんどですから、こういうスパナは使わないですね。

 ちなみに私はAセットのチェン切り、ニップル回し、Bセットのタイヤレバーは今でも工具箱に入っています。

 

 

 こちらは単品のラインナップです。#1000/1020の板スパナは、手許にあるトモダワールドパーツ76にも掲載されていました。1020は俗に「競輪用」と言われていたものです。

 1110のペダルレンチはどう見ても極東のものに見えますし、1060はホーザンの旧製品と同じです。

 

 

 

 携帯用調子取りは、いわゆるハブスパナ、パンチ式チェン切りはプライヤータイプのチェン切りです。

 多段式フリー抜きの対応フリーが、三光舎、シクロ(仏)、888(サンツアー)というのが時代を語っています。また「フラッシュタイプ」フリーなどという言葉もいまや死語と言えそうです。昔のサイクリング入門書にはボスタイプフリー、フラッシュタイプフリーの説明が載っていました。

 

 

 

 スプロケット外しはいまでも使いますが、スプロケットバイスは最近のカセットタイプスプロケットには不要な工具となりました。

 

 

 コッターレス抜工具として、TA、カンパニョロ、マイテイ等のものが紹介されています。

 

 

 ここからは一般自転車用工具となります。

 学生時代に町の自転車店でアルバイトしていたわたしにとっては懐かしい工具ばかりです。

 A型ヘッド回しはギザ付きの汎用ヘッドナット回し、喰切は確かスポーク切り、ホークシナイズルはフロントフォークコラムのネジ切り工具です。

 またバック拡げは、ホイールを外さないまま、正爪の一般用自転車のタイヤ・チューブ交換を行う時などに使います。チェーンステー内側に左右の突起部分をかませてハンドルを回す事でリヤエンドを強制的に拡げる仕組みです。

 タイヤーパンチはBEタイヤ(いわゆる耳付きタイヤ)にバルプを通すための切り欠きを作るためのもので、まだ自動改札が無かった頃に駅の改札で使われていたキップ切りを大きくしたような形状の工具です。BEタイヤは今では実用車(やリヤカー?)に使われているくらいだと思いますが、私が小学生の頃は、実用車をそのまま小さくしたようなロッドブレーキ・BEタイヤ規格の子供車が普通でした。

※2008/04/09:掲示板にて貴重なご指摘をいただき、タイヤーパンチの説明を全面的に書き直しました。

 

 

 リーマやタップはともかく、羽子板はなんだったかな。忘れました。

 

 

 チェン引締めは、正爪の一般用自転車のチェン引きのナットを回すものです。

 全ケース直しは、一般用自転車のチェーンケースがへこんだりした時に、ケースのフリー側のフタをはずして、中に入れ、先端についている回転するローラー部分を使って、内側からヘコミを修正するためのものです。

 ハンドル抜はかなり大きく重たい工具です。雨ざらしになる事の多い一般自転車は、ステム内側が錆びてステムが抜けなくなつたりする事も多く、この工具の下側をヘッドナットに押し当てて、ステムの首(ハンドルバーを固定している部分)を上の部分に挟み、ハンドルを回して強制的に引き抜く仕組みです。

 

 

 クランクピン捻切は記憶にありませんが、コッターピンに関係ありそうですね。

 

 中袋切ハサミの『中袋』はタイヤのチューブの事です。

 

 

 工具セットです。学校教材というのは技術家庭か何かを想定していたのでしょうか。

 

 

 こちらは一般的な工具類ですが、ボックスレンチは自転車によく使われるボルトナットサイズ用になっていますね。

 ちなみに私はトヨタ純正の組スパナを持っていますが、多分1960年代の車載工具です。非常にしっかりした作りで、今だにまったくへたっておらず、完全に現役で使えています。

 

 

 こちらも一般的な工具類です。

 

 

 引き続き一般的な工具類です。

 

 

 ポイントスパナとポイントヤスリは、バイクやクルマの点火装置であるポイントのメンテナンスに使われるものです。現在はポイント式点火システムは使われていないと思います。

 

 

 城東は自転車用工具として有名なフランスのVARの工具も取り扱っていたようです。今でもこれらの工具を使っているショップもあると思います。

 4010の携帯用チェン切は、最近は使いませんが私もまだ持っています。

 4040のフリー蓋外しは、昔のBBワンなどの調整にも使えたと思います。

 

 

 裏表紙です。


さて、いかがだったでしょうか。現代 では使われなくなったものもありますが、まだまだ現役で使われている工具もあると思います。皆様行きつけのショップで現物を見る事が出来るものもあるかもしれませんね。

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