追憶のカタログ展Part29:1973杉野鉄工所

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追憶のカタログ展

− Part29:1973杉野鉄工所 −

Part29は1973年 の杉野鉄工所です。 漢字で書くより、「スギノ」と書くほうがしっくりきます。現在の社名は「スギノテクノ」で、コスペア、クオリテ、XD2などが比較的良く知られている製品です。
スギノは80年代にスギノ75シリーズというコンポーネントも出しましたが、基本的にはチェーンホイール専業メーカーでしょう。このカタログにも出ていますが、マイティコンペやプロダイナミック、マイティツアーは実際に愛用されていた方も多いでしょう。
さて、現在ロードバイクの世界ではコンパクトドライブが流行っていますが、その規格PCD110mmは元々マイティツアーの規格です。またロードトリプルのインナーのPCD74mmも、83年に発表されたMTB用クランクのATで提唱されています。そういう意味でスギノの設計思想は今もしっかり引き継がれていると言っていいと思います。
もう一つ忘れられないのは先代社長の杉野安氏がニューサイクリング誌上等に寄稿した海外紀行の数々です。それらは海外のパーツメーカーやフレームビルダー、サイクルショー、各国のサイクリングやレースの様子が生き生きとした文章で綴られ、私も毎回楽しく読んでいたものです。
今後もチェーンホイール専業メーカーとして、新たな提案を行ってくれるよう願っております。
ここでは日本語カタログを見開き6ページをすべて掲載しました。


表紙です。当時の最高級ロード用クランクであるマイティビクトリーが表紙を飾っています。

 

マイティコンペティションシリーズは当時の最高級レーシング用チェーンホイールです。各部寸法はカンパニョーロ互換ですが、やや武骨とも言える力強い5アームが印象的です。マイティカスタムは内側の枠が無く丸穴が空けられた軽量チェーンリングの製品です。当時はかの有名なプロロード選手であるエディ・メルクスが始めた軽量加工が、パーツメーカーにも影響を与えていた時代です。
雑誌広告にもうたわれていましたが、ミュンヘンオリンピック(1972)で金メダルを2個獲得した事が誇らしげに書かれています。

 

ここではツーリング用高級チェーンホイールとして、マイティツアーとダイナミックプロフェッショナルが紹介されています。当時のサイクリストはプロダイという略称で呼んでいましたが、正式にはダイナミックプロフェッショナルだったんですね。マイティツアーはマイティコンペのツーリング版という感じのPCD110mmの製品で、インナーは公式には34Tが最小歯数でした。プロダイはTAやストロングライト49Dと互換性のある5ピンクランクで、私もプロダイクランク+TAリングという組み合わせは長く愛用していました。プロダイには特殊アダプターもあって、それを介して最小28Tのインナーも取り付けられましたが、ボルトナットが多くゴチャつく感じが否めなかったような気がします。ちなみに特殊アダプターにはPCD144mmのものもあって、その場合はマイティコンペのリングが適合し、プロダイコンペなどと呼んでいましたが、正式な名称ではないような気もします。

 

多くの国内外のマスプロメーカーのサイクリング車に採用されていたマキシイです。3アームとクランクがかしめられたタイプです。このチェーンホイールを装備したスポーツ車からサイクリングを始めたサイクリストも多いのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。クランクとリングの組み会わせ、材質により多くのバラエティがありました。

 

新製品としてマイティビクトリーとニューマキシイが紹介されています。マイティビクトリーは一見マイティカスタムと似ていますが、リングは5mm厚板からの削り出し加工品で強度を向上させた製品です。
またニューマキシイはマイティツアーの同一規格普及版という位置づけの製品で、マキシイ同様、多くのマスプロメーカーのサイクリング車に採用されていました。

 

最後はツール類とBBパーツ、 寸法表です。コッターレス抜き締め工具とハンガースパナは、メカに興味を持ち始めた初級サイクリストが最初に購入するツールだったのではないでしょうか。しかしコッターレスという用語も死語のようなものかもしれません。コッタード、コッターレスという用語をご存じの方は今やどのくらいいらっしゃるでしょう(苦笑)

 

参考までに寸法表の拡大画像をつけておきます。左側はマイティ、プロダイ、右側はマキシイの寸法表です。

 


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