追憶のカタログ展Part71:1976ブリヂストン ユーラシア

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追憶のカタログ展

− Part71:1976ブリヂストンユーラシア −

 ユーラシアの登場は1976年で、当時のブリヂストンの高級スポーツ車「ダイヤモンドシリーズ」の一つ下のモデルとして発売されました。フレーム前3角はCr.Mo(クロモリ鋼)、フロントホークはH.T(ハイテンション鋼)となっています。前後キャリア、バッテリーランプ、バッグ、ボトル、ブレーキレバーパッド、トークリップ/ストラップなど多くのオプションパーツが用意されており、システムスポーツと銘打って販売されました。その後、毎年のように細かなモデルチェンジや車種追加が行われ、サイクリングに興味を持った若い人達のスポーツ車として、そのほかのマスプロメーカーの同クラス車とともに一時代を築きました。当時サイクリングに出掛けると、各地の街道やユースホステルなどで多くのユーラシアに出会ったものでした。

 Part71は初登場の1976年 モデルです。ちなみにニューサイクリング誌では1976年2月号の表4(裏表紙)の広告に初登場しています。
 キャッチコピーは「2タイプ×2サイズのシステムスポーツ」で、ランドナータイプのEA-1/EA-2、スポルティーフタイプのEA-3/EA-4の4車種が用意されました。フレームサイズはそれぞれ520mm/550mm、530mm/560mmとなっています。フレームは、前3角がクロモリ鋼、フロントフォークがハイテン鋼、イタリアンカットラグとストレートドロップエンドという仕様です。

本カタログはY・U様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

 注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。

ユーラシアについては、以下の各ページに掲載しています。

Part71:1976(このページ)、Part57:1977Part74:1978Part49:1979Part39:1982


 

こちらが表紙です。ユーラシア大陸を横断するシルクロードでしょうか。
 

裏表紙です。会社名はまだ『ブリヂストンサイクル工業株式会社』となっていますが、この年『ブリヂストンサイクル株式会社』と改称されます。

ユーラシアの特長3点、クロモリ鋼フレーム・ストレートドロップエンド・軽合金高級パーツアセンブリーについて説明しています。当時、スポーツ車に興味をひかれるようになった者にとって、クロモリ・ストレートドロップ・軽合は高級車のキーワードでしたね。ちなみにユーラシアのこのストレートドロップエンドは、どうみてもルネエルスのエンドのデザインをモチーフにしているようです。また、イタリアンカットラグとCrMoのシールが誇らしげ です。

 

EA-1/EA-2は輪行仕様のランドナータイプです。(翌年のカタログから『タイプ』という呼称が消えてランドナーと明記されます)
フレームサイズはEA-1が520mm、EA-2が550mmです。フレームカラーもそれぞれ2種類となります。この当時はまだ舗装されていない林道も多く、26×1・3/8のリムにオーバーサイズの1・1/2オープンサイド(650×38A)を装着しています。全体的なイメージは当時のスタンダードな和風ランドナーと言えます。チェーンホイールはアウターギヤの交換が出来ないスギノマキシイの5アームで、現代のコンパクトドライブ(PCD110mm)の規格の一番初期のものの一つです。ギヤレシオはフロント48×34にリヤ15-24を組み合わせています。ランドナー初代モデルとしての特徴は、以下のような事があげられます。

  • ダイナモコードが、まだフレーム内蔵ではないこと。

  • ボトルケージ固定用の埋め込みネジが無いこと。

  • リヤハブのみQRで、フロントはナット止めであること。

  • リヤガードステーを固定するダルマネジが、外側からナットで固定出来るタイプであること。

  • クイックシートピンが装備されていること。

  • ダイナモが6V/6.5Wであること。

EA-3/EA-4は27インチホイールのスポルティーフタイプです。当時はまだ700Cは一般的では無く、快走用としては27インチサイズが主流でした。フレームサイズはEA-3が530mm、EA-4が560mmと、ランドナーよりサイズアップされています。チェーンホイールはランドナーと同じスギノマキシイの5アームですが、ギヤレシオはフロント50×42にリヤ15-24を組み合わせたクロスレシオになっています。ブレーキはスポルティーフ定番の吉貝センタープルですが、台座は直付けではありません。

システムパーツの一覧です。後年と比べると、バッグはまだ種類が少ないですね。ブルーに白のストライプが入ったバッグは、当時アメリカから出始めていたナイロン製の軽量バッグに対抗して、鳥山新一さんが企画したものです。 それでも、サイド枠付きフロントキャリヤやパニア台なども用意されており、左上のようなキャンピング仕様にする事も可能でした。


− スペック −

以下のスペックは、当時のカタログを元に私が記憶している情報をつけ加えたものです。もし違っている箇所がありましたら、ご指摘下さい。

EA-1/EA-2

フレーム 基本仕様 前3角クロムモリブテン鋼(上下パイプシングルバテッド/立パイププレーン)、ハイテンション鋼フロントフォーク、オリジナルイタリアンカットラグ、ストレートドロップエンド、フォーク脱着式マイクロアジャスターヘッド小物
工作 カンティブレーキ台座、ベアシステム、変速ワイヤーリード、ダイナモ台座、ポンプベグ
スケルトン フレームサイズ:520/550、トップチューブ:540、リヤセンター:430、アングル:72度パラレル、フォークオフセット:65、ハンガー下がり:53
カラー P.フィールドグリーン、P.シャインローゼ
ホイール ハブ 三信ラージフランジ(36H F96-R124) ※リヤのみQRタイプ
スポーク 鉄#14プレーン
リム アラヤ26×1・3/8WO(36H)
タイヤ 26×1・1/2オープンサイド(オーバーサイズ 英式バルブ)
マッドガード ワイドC型、リヤ分割式、アルミ巻きステー ※リヤダルマ輪行タイプ
駆動系 チェーンホイール スギノニューマキシイT(165mm 48×34T) ※アウター固定式
フリーホイール サンツアーパーフェクト(15-17-19-21-24T)
チェーン 1/2×3/32 108L ※D.I.D/H.K.K のどちらかだったかは記憶無し
ペダル 三ヶ島クイル2K ※トークリップ/ストラップはオプション
変速機 前変速機 サンツアースパート(トップノーマル)
後変速機 サンツアーVラックス
Wレバー サンツアーPDL-M(ラチェット内蔵パワーレバー)
ブレーキ 本体 吉貝#960カンティ(BSオリジナル全天候AWシュー)
ブレーキレバー 吉貝#161(QR付き) ※レバーパッドはオプション
ハンドル ハンドルバー サカエランドナーバー
ステム サカエ鍛造(六角ボルトタイプ)
バーテープ 綿
サドル サドル #17型プラスチック(ビニールレザー貼り) ※カシマ製?
シートピラー 軽合1本ピラー
シートピン 極東クイックシートピン
電装品 ヘッドランプ 丸型シングル(6V-6W) ※おそらくミツバ
ダイナモ 6V-6.5W ※おそらくミツバ
テールランプ BSオリジナル(6V-0.5W)
その他 ポンプ プリマスホースタイプ
フロントキャリヤ 5mmムク丸棒(探見灯取付可)

EA-3/EA-4

フレーム 基本仕様 前3角クロムモリブテン鋼(上下パイプシングルバテッド/立パイププレーン)、ハイテンション鋼フロントフォーク、オリジナルイタリアンカットラグ、ストレートドロップエンド、マイクロアジャスターヘッド小物
工作 ベアシステム、変速ワイヤーリード
スケルトン フレームサイズ:530/560、トップチューブ:545、リヤセンター:440、アングル:71.5度×73度、フォークオフセット:60、ハンガー下がり:67
カラー P.マルチブルー、P.シャインローゼ
ホイール ハブ 三信ラージフランジ(36H F96-R124) ※前後QRタイプ
スポーク 鉄#14プレーン
リム アラヤ27×1・1/4WO(36H)
タイヤ 27×1・1/4オープンサイド(英式バルブ)
マッドガード #52型、アルミ巻きステー
駆動系 チェーンホイール スギノニューマキシイT(165mm 50×42T) ※アウター固定式
フリーホイール サンツアーパーフェクト(15-17-19-21-24T)
チェーン 1/2×3/32 108L ※D.I.D/H.K.K のどちらかだったかは記憶無し
ペダル 三ヶ島マックスK ※トークリップ/ストラップはオプション
変速機 前変速機 サンツアースパート(トップノーマル)
後変速機 サンツアーVラックス
Wレバー サンツアーPDL-M(ラチェット内蔵パワーレバー)
ブレーキ 本体 吉貝#610センタープル(BSオリジナル全天候AWシュー)
ブレーキレバー 吉貝#161(QR付き) ※レバーパッドはオプション
ハンドル ハンドルバー サカエマースバー
ステム サカエ鍛造(六角ボルトタイプ)
バーテープ 綿
サドル サドル #17型プラスチック(ビニールレザー貼り) ※カシマ製?
シートピラー 軽合1本ピラー
シートピン 六角ボルト
電装品 ヘッドランプ 無し
ダイナモ 無し
テールランプ BSオリジナル小判型リフレクター
その他 ポンプ プリマスアダプタータイプ
フロントキャリヤ 5mmムク丸棒(探見灯取付可)

 


Part49でも書いていますが、当時都内の自転車店でアルバイトしていた私にとって、ユーラシアの登場は懐かしい思い出の一つです。春や夏の長期休みに長期ツーリングに出掛ける高校生や大学生がユーラシアを買いに来てくれると、自分の事のようにウキウキして一生懸命ユーラシアを組んだものでした。店のご主人からは『早く組んでくれよ。今日中にルネ20(注1)を4台とモンテカルロ(注2)を2台、ロードマン(注3)を1台組まないといけないんだから』などと言われながらも、バーテープを念入りに巻いたりしていましたね。

注1.もちろんルネエルスの事などではなく(笑)、当時売れに売れていたブリヂストンの20インチミニサイクルです。
注2.モンテカルロはいわゆるジュニアスポーツ車です。
注3.ご存知の方も多い、日常用/通学用として一世を風靡したドロップハンドルの入門用スポーツ車です。

 

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