追憶のカタログ展Part70:1964年 MAFAC

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追憶のカタログ展


− Part70:1964
MAFAC −

 Part70は1964年のMAFACのカタログです。MAFACはフランスのブレーキメーカーで、おそらく80年代には会社自体が無くなったと思いますが、今でも実際に使用している方も多いです。年齢層によって馴染みの製品は多少異なりますが、私のように70年代前半にサイクリングに目覚めたサイクリストであれば、クリテリウム、レーサー、コンペティション、ライドあたりでしょうか。やや上の世代ですと、ドライバー、デュラルフォージ、トップ63、タイガーあたりも加わりますね。
 現在でもネットオークションなどでかなり豊富に出回っており、製造年代にこだわらなければ、クリテリウムやレーサー、コンペティションなどは新品で入手出来るようです。

 私と同時代くらいで当時のマスプロメーカーのスポーツ車に乗っていた方であれば、例えばダイヤコンペのカンチブレーキやセンタープルブレーキからMAFACのクリテリウムやレーサーに交換して、その効きの良さに「さすがMAFAC」と思った方も多いのではないでしょうか。私自身の若い頃の自転車には、ロードレーサーにコンペティション(刻印コンペ)、650×38Bランドナーにライド、700×35Cランドナーにレーサーと3種類を 使いましたが、一番ポピュラーなクリテリウムは使った事がありません。

 その後の技術の進歩もあって、機能/性能/品質のいずれについても、今のブレーキと比較するのは率直なところ酷な話ですが、例えば真鍮ブッシュの組み込みや現代のブレーキシューへの交換などで、必要最小限の性能を得る事も可能で、大切に使っている方も多いですね。

 ブレーキ以外では携帯工具セットも有名で、薄型のメガネレンチ、それと組み合わせて使うBOXスパナ、タイヤレバー、ペダルレンチなどが含まれていて、当時はとても使いやすいものだったと思います。

 本カタログは特に表紙などはなく、2つ折り4ページのシンプルなものです。トップ63の分解図などがなかなか興味深いです。イラストは例によってダニエル・ルブールです。

本カタログは old cyclist 様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。


 各種カンチブレーキとブレーキレバーです。クリテリウムやギドネットレバーを使っていたサイクリストも多く、日本でもポピュラーな製品です。アームとブレーキシューが長いシクロモーターは強力な制動力が必要なタンデムやパスハンターに使う例が多かったと思います。
 ギドネットレバーとフラットレバーには軽合のものと鉄芯入りのデルリンのものがありましたが、デルリンは経年変化ですぐにクラックが入った記憶があります。
 フラットバー用のブレーキレバーは私もパスハンターに使っていました。

見開きで、TOP63、フーデッドレバー、デュラルフォージが紹介されています。

 上の見開きページの左半分です。
 TOP63、本体がデルリンのドロップレバーの分解図ですが、TOP63のアーチ取付部分(1151E)のアジャスト構造がユニークですね。

 こちらは右半分です。
 レーサー、本体が軽合のドロップレバーの分解図です。レーサーは刻印が"MAFAC"のもので、これがいわゆるデュラルフォージでしょうか。残念ながら私はこの辺りは詳しくありません。チドリは2枚合わせタイプですが、私などはTOP63の1枚板タイプのほうがなじみ深いです。1枚板タイプも割りの入っているものと入っていないものがあるようです。
 ちなみに私の現有の自転車のランドナーとクロススポルティーフはそれぞれXTRカンチ、吉貝GC510センタープル装備ですが、チドリはいずれも割入りのMAFACを使っています。

 こちらは工具セットになります。
 このカタログではイラストではMod45/48/51/131の4種類が紹介されていますが、説明文を読むと含まれている工具の数が違う他の種類もあるようです。
 モビレット(モトベカン)、ベスパ、ランブレッタなどのシクロモーター(エンジン付き)、スクーター、オートバイ用のものも有ったのですね。

 この画像は私が今でも持っているセットで、Mod48だと思います。タイヤレバーは1本紛失したようです。昔乗っていたランドナーやロードはボルトナットが多く使われていたので、特に左から3番目からの12/14、10/11、8/9のメガメレンチと右端の8/9のボックスはサイクリングに出掛けるときの携行工具として重宝しました。
 右から3番目は15ミリメガネレンチとペダルレンチの組み合わせ、その右のものは13ミリメガネレンチとハブスパナの組み合わせです。右端上はマイナスドライバー、15/17、ニップル回しの組み合わせです。
 ケースは裏側を写していますが、この通りミヤタのマークが入っており、一時期ミヤタのスポーツ車の付属工具だったかオプションパーツだったかだと思います。入手経路は学生時代にアルバイトしていた自転車店でした。


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