峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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はじめに
このページはTA22セリカのレース仕様車の製作記です。KE25カローラクーペのレース仕様車を作成するために昔のレース雑誌を眺めていたら、このクルマを製作したくなり、着手することになった次第です。
1.TA22セリカについて
TA22セリカは1970年12月に登場した、日本初のスペシャルティカーです。ご存知の方も多いと思いますが、この初代セリカは、当時アメリカで大ヒットとなったフォード・マスタングの影響を多大に受けたと言われていますね。
セリカは同時に発表されたカリーナと多くのコンポーネントを共用することで、スペシャルティーカー市場とスポーティー・セダン市場という新しいジャンルの開拓を担いました。また「未来からやってきたクルマ」というキャッチコピーを掲げ、斬新なボディスタイルだけでなく、「セリカ・フルチョイス・システム」という多種多様のユーザーニーズに対応する受注方式や、1600cc/115HPのDOHCエンジン「2T-G」搭載なども話題になりました。
詳しい情報は今はインターネット上にいくらでもありますので、興味のある方は検索してみて下さい。
2.製作イメージと使用するキット
前回のKE-25カローラクーペに続いて、今回はTA-22セリカのレース仕様を製作することにしました。幸い、ハセガワから、1972年日本グランプリ特殊ツーリングカーレースのTa-aクラスで1-2位を独占した車体、同年の鈴鹿500kmにR-Uクラスで出走した車体、市販車パーツにレース仕様にするためのパーツがセットされている車体が発売されていたので、カローラクーペやAE86ラリー仕様の時のような、切った貼ったはしなくて済みそうです。
ハセガワのセリカは比較的近年に発売されたもので、ボディスタイルは非常によく再現されていますし、いかにもハセガワらしくデフォルメも最小限に抑えられています。
そこで今回は、大型オーバーフェンダーやフロントスポイラーがボディと一体化されて空力性能を向上させた、鈴鹿500kmR-Uクラスで出走した車体を製作することにします。
3.参考資料
自宅には60年代〜80年代のオートスポーツ誌がまだ20冊程度残っているのですが、1972年9/15号の特集「国内ツーリングカーはこう変身している!」に今回製作するR仕様のセリカの解説が掲載されていたので、この記事を参考に製作します。
当時の国内ツーリングカーレースは特殊ツーリングカーという規定で改造されたクルマによるレースが盛んで、どのクルマも後付けのオーバーフェンダー、前後スポイラー、ヘッドライトを取り外してカバーで覆われたフロントグリルなど、無骨ながらも、いかにもレース専用車という雰囲気を醸し出していました。
セリカのR仕様はそれを更に発展させたもので、空力性能の向上を狙って大型オーバーフェンダーやフロントスポイラーをボディと一体化しており、より洗練されたボディスタイルとなっています。(記事は画像クリックで拡大表示します)
4.ボディ加工
4-1.オーバーフェンダー等の装着
ボディ加工と言っても、今回は市販車ボディに装着する大型オーバーフェンダーやフロント/リヤスポイラーの加工が中心となります。まずは、キットのオーバーフェンダーとフロント/リヤスポイラー、前後バンパーを接着し、前後バンパーのナンバープレート取り付け部とフロントウインカーレンズ部分を面一にするパーツも取り付けます。
画像はそこまで組み立てた状態ですが、さすがハセガワのキットだけあって、接着時の位置合わせの調整はそれほど面倒ではありませんでした。
R仕様ではないTSクラスの実車では、この仕様でレースに参加していたものもポピュラーな存在だったようで、当時のオートスポーツ誌のレース記事の写真にも数多く見る事が出来ます。
4-2.オーバーフェンダー等のボディとの一体化加工
前項で示したオートスポーツ誌の写真を参考に、オーバーフェンダーとボディの接着部分にパテを盛ってからボディと一体化するようペーパー掛けしました。フロントスポイラーも写真を参考に形状を整え、リヤフェンダ下端はプラ板を貼って延長しました。
それ以外には、画像ではわかりにくいですが、フェンダーミラー取り付け部の凹みのパテ埋め、トランクリッドのフィラーキャップ取り付け等の加工も施してあります。画像は加工の状況を確認するためにサーフェイサーを吹き付けた直後の状態で、その後更にペーパー掛けして仕上げました。
5.ホイール・タイヤ、内装等の製作
ホイールは定番のいわゆる井桁タイプです。カローラクーペと同様、フジミの別売りホイールのトムスラリーとテクノレーシングのリム外周部分を合体させて、ストックしてあったスリックタイヤを現物合わせでカットして径を詰め、瞬間接着剤で貼り合わせたものを装着しました。
内装と下回りはほぼキットの素組ですが、足回りは製作したホイールに合わせて車高を微調整してあります。
6.仮組
一通りの加工が終わったところで、ボディにタミヤのカラースプレーのブライトレッドをスプレーして、全体的なイメージを確認してみました。私の感覚では、このくらい仕上がれば充分です。
7.完成
ブライトレッド→クリアーの吹きつけ→P2000ペーパー掛け→コンパウンド仕上げを2回繰り返した後にデカールを貼り、更に2回クリアーの吹きつけ→P2000ペーパー掛け→コンパウンド仕上げを施し、最後にワイパーやウインカーレンズ、ドアハンドル、キャッチピンなどの取り付け、ウインドウ枠塗装で一通り完成しました。ヘッドランプカバー部分のブルーのドライバー名 "H.TAKAHASI は本来は黒色ですが、やや古くなっていたデカールが破れてしまったので、代わりに貼ってあります。
8.追記
クルマのミニカーとプラモデルの専門誌である「モデル・カーズ」の2021年11月号の記事「モデル・カーズコンテスト」にこのキットを投稿したところ、今回は賞品が贈呈される上位3台の優秀賞に選ばれて、今後のカーモデル製作への励みをいただいた気がします。