HOME > 自己紹介 - 趣味・好み > プラスチックモデル > 製作記 - ST185セリカ サファリラリー仕様

はじめに

 このページはST185セリカのサファリラリー仕様車の製作記です。このキットはタミヤから1992年頃に発売されたもので、長期保管していたものです。

1.ST185セリカについて

セリカ GT-FOUR RC セリカは1970年12月に登場した日本初のスペシャルティカーで、初代セリカは、当時アメリカで大ヒットとなったフォード・マスタングの影響を多大に受けたと言われています。

 ST185セリカはセリカとしては5代目となるモデルで、1989年にモデルチェンジしました。「未来感覚」をテーマにした曲面を多用したエアロフォルムボディをまとい、125HPの3S-FE、165HPの3S-GE、225HPの3S-GTEの3種類のエンジンが搭載されました。3S-GTEユニット搭載車「GT-FOUR」はその名の通りフルタイム4WDを組合わせることで、ST165に代わってWRCの1990年後半から投入するマシンのベース車となるはずでした。

 しかしST185のWRC参戦は更に1年半ほど見送られます。その最大の理由は3S-GTEエンジンの空冷インタークーラーでは実戦における冷却力不足が予想されたためです。結局、インタークーラーの水冷化、バンパー開口部の大型化とボンネットの形状変更等を施して1991年9月に発売された「GT-FOUR RC」が、国内で約1800台、海外で約3200台販売されたことで、ようやく1992年1月1日付けでグループA公認を取得して実戦投入準備が整い、同年のWRC初戦のモンテカルロラリーがデビュー戦となりました。

 デビューイヤーの1992年、ST185は第4戦のサファリラリーで初優勝しましたが、その一方でハンドリングやセンターデフなどに問題を抱えて改良に明け暮れることにもなりました。それでも終盤に近づくにつれて熟成も進み、この年4勝したカルロス・サインツが1990年に続く2度目のドライバーズチャンピオンを獲得します。
 その後、翌年の1993年にはユハ・カンクネンが、1994年にはディディエ・オリオールがドライバーズチャンピオンを獲得するとともに、2年連続でマニュファクチャラーズチャンピオンも獲得しました。

 結果として、ST185セリカはWRCで通算16勝を挙げ、3年連続ドライバーズチャンピオン、2年連続マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得して、後にトヨタ最強のラリーカーと謳われることになったのでした。

2.使用キット

TOYOTA CCELICA GT-FOUR RC '92 SAFARI RALLY WINNER  使用キットはタミヤの"TOYOTA CELICA GT-FOUR RC '92 SAFARI RALLY WINNER"で、1992年にカルロス・サインツがサファリラリーに優勝したモデルです。

 ただし、長期保管していたため、デカールがかなり劣化していたこと、個人的にレプソルカラーよりもカストロールカラーの方が好みであることから、サードパーティーの別売りデカールを利用して、1993年のサファリラリー優勝車を再現することにしました。

 ハセガワの1993年サファリラリー優勝車のキットも持っているので、どちらにしようか迷いましたが、ボディ形状はハセガワの方が好みだったものの、内装や足回りの表現がより精密なタミヤのキットにした次第です。

3.参考資料

RALLY CARS Vol.26 参考にしたのは、三栄が発行している"RALLY CARS Vol.26 - TOYOTA CELICA TURBO 4WD"です。"RALLY CARS"は、国内外のラリーで活躍したラリーカーを1車種ずつ特集しているムックで、2020年8月現在、Vol.26まで発刊されています。
 当時のラリーシーンの写真、戦歴やクルマの成り立ち、関係者インタビューなどが一冊にまとめられていて、なかなか読み応えがあり、模型製作の良き参考書でもあります。











4.製作前チェック

タミヤ・ハセガワ比較 前述したように、ST185セリカのサファリラリー仕様はタミヤとハセガワから発売されており、どちらのキットを製作するか検討しました。画像は左側がタミヤ、右側がハセガワのキットです。

4-1.ボディ形状

 一見してわかるように、タミヤの方が前後フェンダー部分がかなり張り出していてダイナミックな感じがするのに対して、ハセガワはやや大人しい感じがします。実車の全幅は1745mmで、1/24スケールでは72.7mmです。それに対して、ハセガワは73mm、タミヤは78mm近くあり、スケール的にはハセガワの方がより正確です。
 ただし、1/24スケールの模型という観点から見ると、タミヤのキットはST185セリカのスタイルをよりわかりやすく表現しているように思います。
 フロントグリル・フロントバンパーの造形も結構違い、タミヤは全体的に丸く、ハセガワはバンパー開口部が直線的です。

4-2.内装と下回り

 内装と下回りはいずれもタミヤの方がディテールが緻密で、ハセガワはやや簡略化した感じです。

4-3.ホイール・タイヤ

 ホイールはどちらもO.Zレーシングですが、造形的にはタミヤがより実物に近い感じです。またホイール径はごく僅かですがタミヤが小さく、こちらの方がグラベル用としてのイメージが良い感じです。タイヤも外径や幅、トレッドパターンがタミヤに軍配が上がります。

4-4.結論

 ボディ形状はハセガワの方が好みなので、当初はハセガワのボディとタミヤの下回りや内装と組合わせることも検討しましたが、ボディ幅がかなり違うことから、色々と改修する箇所も増えるので、今回はタミヤを選択することにします。

5.ディテールアップ

アニマルバー 当時のサファリラリー独特の装備といえば、アニバルバーとシュノーケルです。そこで、ST165セリカの制作時と同様、実車画像をチェックして、1/24で再現出来る範囲でアニマルバーをディテールアップしてみました。

@フロントバンパーへの固定部部分に、プラバンで作成した固定用板を追加。バンパー取り付けボルトナットも再現。
→市販の極小ボルト再現キット使用

A単なる突起状になっているフロントフェンダー上部の固定ボルトのモールドを切り落として、ボルトナット状に再現。
→市販の極小リベット再現キット使用

Bアニバルバーに取り付けるストーンガードは付属しているメッシュを使用せず、ハセガワのモデリングメッシュ(PA42:正方形・大) を使用。※取り付けた状態は次節のの完成画像参照。

なお、内装や足回り等はキットのままでも充分と思いましたので、今回は特に手を加えていません。

6.完成

 一通り工作が終わったところで、ホワイトサーフェイサー→ピュアホワイト→クリアーの順に吹きつけて、ペーパー掛けとコンパウンド掛けした後、デカールを貼りました。デカールはサードパーティーの1993年ユハ・カンクネンの優勝車のものにして、キットではオミットされているマルボロロゴも貼ってあります。このデカールは発色は綺麗ですが、柔軟性が無くて、軟化剤とドライヤーを駆使してなんとか貼ったものの、結構割れてしまい、ところどころタッチアップしています。その後、更に数回クリアーを吹きつけてから、ペーパー掛けとコンパウンド仕上げを施し、ランプ類やアニバルバー、ホイールハウスのマッドフラップなどの外装パーツを取り付けて、一応完成としました。

 相変わらず細かいところが雑ですし、ところどころデカール割れのタッチアップも残っていますが、ボチボチ仕上げていくつもりです。

完成

 これでサファリラリーに優勝したセリカが3台完成しましたが、サファリ独特の装備が、戦うマシンの迫力というか凄みを感じさせます。その後、WRCでは、1994年のサンレモラリーでST185の次のモデルのST205がデビューしましたが、なかなか熟成が進まず、その焦りからか、1995年のカタルニアラリーで違法リストリクター使用が発覚。事態を重く見たFIAからポイント剥奪と1年間の出場停止処分を受けてしまい、セリカによるWRC参戦は終わりを告げました。

完成



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