峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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はじめに
このページはAE86レビンGT2ドア前期型のラリー仕様車の製作記です。昨年(2013年)秋に発売された、私の最初のマイカーである丸目4灯のTE71カローラ1600GTのキットを作って以来、久し振りにプラモデルの製作意欲が沸き上がってきており、その勢いに任せて製作過程を記録してみることにしました。
本来はサイクルツーリングのWebサイトに、こういうページもどうかと思いますが、もしお時間に余裕があればご笑覧下さい。
1.AE86レビンについて
1983年5月にカローラシリーズは5代目の80系にモデルチェンジされ、セダン系はカローラ初のFWD(前輪駆動)となりましたが、クーペ系は従来通りRWD(後輪駆動)のままのモデルチェンジで、カローラレビン/スプリンタートレノと呼称されました。
カローラレビン/スプリンタートレノに搭載されるエンジンは、新開発の4A-GEUと70系からのキャリーオーバーの3A-Uがありましたが、4A-GEUを搭載したGT系が、車両形式E-AE86、いわゆるハチロクです。
今はインターネット上にいくらでも情報がありますので、興味のある方は検索してみて下さい。
2.製作イメージ
AE86の車台や足回り、トランスミッションなどは基本的に70系を踏襲しており、モデルチェンジ後まもなく、70系のスポーツパーツを流用するやり方で、当時のラリーやダートトライアルにデビューし、参加台数の多くを占めるようになりました。
この製作記では、当時のラリーでポピュラーな存在だった、2ドアGTベースの国内ラリー仕様車を作っていきます。
写真は当時有名だったチームマジョルカの竹平氏の使用車ですが、このようなイメージで仕上げたいと思います。すなわち、
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車種はレビン2ドアGTの前期型
当時の国内ラリーでは軽量でボディ剛性の高い2ドアが中心でした。前期型というのは、GTのフロントグリルのデザインが好み、ただそれだけの理由です。 -
当時の国内ラリーの車両規定に準じた装備を施す。
後部座席除去、6点式以上のロールバー、競技用バケットシート、4点式以上のシートベルト、2灯のフォグランプ、ラリーホイール、ラリータイヤなどを装備します。 -
4A-GEUエンジンの再現
せっかくですから、ボンネットの内側にはエンジンも載せたいと思います。
という感じですね。
3.必要なキットの購入
さて、前項の条件で作るためのキットを購入しなければなりませんが、色々調べた結果、以下のキットを組み合わせることとして、購入しました。
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フジミ インチアップディスクシリーズ AE86レビンGT-APEX 2ドア
残念ながら前期型は絶版で適価での確保が難しいため、後期型を購入。 -
アオシマ ザ・ベストカーGTシリーズ AE86レビンGT-APEX 3ドア エンジン付
こちらも前期型は絶版でしたが、適価でオークションに出品されたものを購入出来ました。 -
アオシマ Sパッケージ・バージョンRシリーズ TRD AE86レビン N2仕様
こちらは競技車用内装バーツを流用します。 -
その他
ラリーホイールやラリータイヤ、フォグランプなどはパーツストック箱からあさります。
4.製作事前調査
購入したキットを早速チェックしたところ、ベースとなるフジミのキットは、トレノやレビン3ドアと金型を使い回したのでしょうか、ボディはそのまま使えそうもありません。とりあえず気付いた問題点は以下の通りです。
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ボンネットのプレスラインがトレノのまま
→これはさすがに使えませんが、パテ盛りして削るのも面倒ですね。 -
ルーフの厚みが有り過ぎ
→これはヤスリで修正出来る範囲で目をつぶります。 -
トランク上面のプレスラインがオミットされている
→薄いプラ板を貼り付けてペーパー仕上げでいけそう。 -
フロントフェンダー上部の肩のプレスラインが落ちてしまっている
→パテ盛り整形か、アオシマにコンバートします。 -
サイドウインドウ下端が低い
→まあ、目をつぶりますか。 -
フロントフェンダー前端のプレスラインがオミットされている
→アオシマにコンバートします。 -
フロントグリルとランプが天地方向が薄い
→これもアオシマから流用かな。
と、まあこれ以外にもフロントバンパーは後期型なのにリヤグリルやリヤバンパーは前期型だったり、後部座席背後のバネルが3ドア用だったり、なかなかやってくれます。
5.製作基本方針
前項に書いたように、2ドアのボディをそのまま使うのは、さすがにきついので、アオシマのボディと詳細に比較した結果、ドアの後方分割ラインまではアオシマ、それ以降のリヤウインドウ、トランク部分のみフジミを使う事にします。側面にマスキングテープを貼って、切断位置をペンでなぞってみると、多少の修正で合体出来そうです。ルーフの厚みの差やサイドウインドウ下端位置の差はボディを合体してから合わせます。
こうすることによって、下回りはすべてアオシマのキットがほぼ無改修で使えますので、ボディさえ何とか仕上げれば、それ以降の工程はサクサク進むのではないかと思います。
6.ボディ加工 - 第一段階
前項に書いたように、アオシマレビン3ドア前期型とフジミレビン2ドア後期型を合体させましたが、これがなかなかの難工事で、一旦サーフェイサーをスプレーして加工の状態をチェックしてみました。加工した部分を赤枠で示してありますが、以下のような加工を施した処です。なお、当初コンバート予定だったリヤバンパーは、この時点ではとりあえずそのまま使ってみることにしました。
- リアウインドウ上下辺をフロントウインドウと合わせた
- サイドプロテクションモールを切除
- リヤホイールアーチ後部のマッドガードを削除
- 真っ平らなトランクリッド天面に0.3mmのプラバンを貼り、ペーパー掛けしてプレスラインを再現
- トランクリッド後面のガーニッシュを削り取った
- 削り取ったガーニッシュ上部に0.3mmのプラバンを貼り、プレスラインを再現
- テールライト形状を前期型に加工するため、トランクリッド下部の隙間を埋めた
6.ボディ加工 - 第二段階
ここまで加工して気付きましたが、右の画像に示したように、テールレンズの上下方向の厚みが過大に思えたので、テールレンズ上辺を0.5mm削って薄くし、ボディ側にも0.5mmのプラバンを挟み込んで整形したところ、フジミレビンのなんとなくボテッと見えたリヤビューが多少シャープに見えるようになりました。
さて、断面形状もルーフ高さも異なる2つのボディを合体して、パテ盛りとペーパー掛けを何度も繰り返したため、ウインドウ枠やドア開閉部のラインも埋まっていますので、BMCタガネなどを使って再度彫り込み、一旦軽くホワイトをスプレーしてみます。
う〜ん、なんかまだイメージと違うなあ。
そこで、あらためて実車の写真と加工したボディを見比べると、どうもトランクリッドが寸詰まりに見えるし、リヤバンパーもメリハリのない形状に見えます。そこで、フェールリッドの後方でボディを再度切断、帯状に切った1.2mm厚のプラバンを挟んで再接着してトランク部分を延長してみました。さらにリヤバンパーも切り離して、アオシマレビンのバンパーを接着します。
この状態で再度軽くホワイトを吹き、暫定的に組んだ下回りと組み合わせてみたのが下の画像です。ここまで手を加えて、ほぼ私のイメージの2ドアボディになりました。
素材として追加ストックしておいたフジミレビンと並べてみますと、全体的にシャープでメリハリの効いたイメージになりました。ちなみにここまでの加工の間、右側Cピラーを折ってしまったり、ルーフの接合部分が割れてしまったりもしていますし、どうやらこの辺りで妥協した方が良さそうです。
7.塗装・組み立て
ボディ加工が一段落したので、もう一度ホワイトを吹いてから、当時のマジョルカレビンに似せて、ボディサイドにオレンジとグリーンの帯をスプレーしました。軽く2000番のペーパーを当てた後は、以前ストックしてあったフジミのTE27レビンのマジョルカラリーのデカールとストック箱に保管してあった部品メーカーのデカールを適当にアレンジしつつ貼ります。ドアのゼッケンの下にボディ塗装が透けて見えるのは失敗です。あらかじめ白地のデカールを貼っておくべきでした。
1日置いてクリヤーを2回吹いてから、軽くコンバウンド掛けし、並行して作成していた内装を組み込みます。
内装はアオシマのN2仕様レビン3ドアのものを使いましたが、今回は2ドアということで、プラ板で簡単なリヤバルクヘッドを作成し、フロントドア内張部分はフジミのキットから切り出しています。
赤く塗装したシートはストック箱に転がっていたR32スカイラインGTRのもの、ステアリングホイール、ラリーコンピュータ、助手席フットレストなどもストック箱から見つけたものです。
"GT
TWIN CAM 16"のデカールは、アオシマのキットのGTVのデカールから"V"をカットしています。ナンバープレートは虫ピンと細密釘を使って、封印固定を再現、トランクリッドの鍵穴も虫ピンです。
なお、ウインドウはフロントとフロントドアはアオシマレビン、リヤウインドウはフジミレビン、リヤサイドウインドウは0.2mm透明プラ板から切り出したものをそれぞれ使いました。
8.とりあえず完成
最後はやっつけ仕事となりましたが、窓枠を塗装し、フォグランプ、ワイパー、サイドミラーなどを取り付けて、ひとまず完成ということにしました。当初組み込む予定だったエンジンは別のキットに流用することにして、今回はオミットしました。
フォグランプは当時のJMS規定に合わせて、光軸がヘッドランプより上にならず、取り付け後もバンパーから前にはみ出さないよう、バンパーとグリルを削って装着しています。
あと手を加えるとしたら、アンダーガード、マッドガード、ラジオアンテナ、牽引フックあたりの取り付けです。シートベルトはまだ購入していないので後日装着予定です。
ということで、ここまでくるのに結構手間が掛かりましたが、まあ、自分のイメージに近い2ドアGTのラリー仕様車になったので、良しとしましょう。