追憶のカタログ展Part90:1981年 シマノDA/600AX

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追憶のカタログ展

− Part90:1981年 シマノDA/600AX −


 Part90は1981年のシマノDA(デュラエース)/600AXです。AXはエアロダイナミクスを追求したシリーズで、発表当初は世界的な反響を巻き起こしました。当時の国内外のサイクルショーはAXフルセットの自転車ばかり目立ち、当時のシマノの意気込みとこのシリーズに対する自転車業界の関心の強さにはすごいものがありました。

 しかしAXシリーズはわずか2年程度の商品寿命しかない失敗作でした。強度不足で破損が相次いだDDペダル、作動が不確実で整備性の悪いブレーキ、効果の実感出来ないエアロ効果等々、AXシリーズは市場からもプロチームからも酷評を受けて、その短い寿命を閉じました。

 それでも、その機構には今日につながる技術も数多く搭載されており、現代のシマノのコンポーネント群にも引き継がれています。

このカタログはK・S様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼を述べさせていただきます。

※下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。 著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。


※以下の各画像をクリックすると拡大画像(横1600ピクセル)が表示されます。

表1(表紙)と表4(裏表紙)です。

シマノはAXの開発に際し、風洞実験施設まで建設して、本気で自転車のエアロダイナミクスに取り組みました。システムコンポーネント全体での空気抵抗減少に挑戦した姿勢に、当時私もシマノはここまでやるんだと思いましたが、その一方では、乗っている人間の空気抵抗やペダルを回している時の状態はどうなんだろうかと素朴な疑問も感じたのは事実です。

 ここ ではエアロダイナミクスから離れ、各パーツの機能について述べています。Wカットメカニズム、スーパーシフトギア、カセットタイプフリーなどは、コンポーネントとしての変速性能向上を図るための提案です。DDペダルは人のパワーをいかに効率的に使用するという観点から採用された機能です。

 このページ は変速性能とブレーキ性能の向上について語られています。現在ではごく当たり前となったインデックスシステム、エアロタイプブレーキレバーなどが説明されています。

 21.7%の空気抵抗削減を実現とありますが、人が乗っていない静止状態の数値にどの程度の意味があったのか、今となっては正直なところ疑問です。そのうたい文句の後は2ページにわたってデュラエースAX、600AXの紹介です。空気抵抗削減のために出来る事はすべて盛り込むという意気込みが感じられます。
詳細は拡大画像をご覧下さい。

 

  このカタログを見る限り、当時のシマノは 本気でイノベーションを起こしたかったことがわかります。結果としては失敗作に終わってしまったAXシリーズですが、この経験と研究開発への取り組みがそれ以降のコンポーネントに生かされて 、現在のシマノがあると言っても過言ではないと思います。ただし、最近のシマノはあまりに強大になりすぎて、それ故に影響力も強すぎる面があるのではというのも、個人的な感想ですが。

 

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