追憶のカタログ展Part76:1964年ホルクス-Rシリーズ

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追憶のカタログ展

− Part76:1964年ホルクス-Rシリーズ −





サイクルスポーツ誌1972年9月号より
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 ホルクスは、東京は上野にある横尾双輪館のオリジナルブランドです。横尾双輪館は1925年創業という、都内でも老舗のスポーツサイクルショップで、特に競技用自転車を得意としています。

 私がサイクリングに興味を憶えたきっかけは、1972年の夏、近所の書店で何気なく手に取ったサイクルスポーツ誌とニューサイクリング誌でした。
 それまで、自転車と言えば、ブリヂストン、ナショナル、宮田、丸石、日米富士といった大手マスプロメーカーしか知らなかったのに、上記の自転車雑誌には、マスプロメーカーではないブランドの広告が多数掲載されていました。しかもそれらの広告に載っている自転車は値段も桁違いで、見た目や部品も、ど素人の中学生にもなんとなくわかる違いがありました。

 そして、何号か続けて読んでいる内に、泥除けも荷掛もランプもついていないロードレーサーに、なんともいえないカッコ良さを感じるようになりました。
 その中でも特に気に入ったのが、左の写真にあるホルクスRでした。
 写真の自転車はカンパニョーロレコードフルセットの最高級車で、それ以外のパーツもチネリ、レジナ、ユニカ、クリストフ、ビンダなど当時の一流『舶来』パーツでまとめられています。価格は\191,850とあります。

 もちろん当時の私には、ロードレーサーやパーツの知識は全くありませんでしたが、町で見かける『ドロップ車』とはまるで違う精悍さと美しさを感じたものでした。


 サイクリングに興味を憶えた当初に、この写真にひかれた事が、700C好きとなった一つのきっかけだったのは、まず間違いないところです。

 今回公開するカタログは1964年のもので、Rスペシャル、Rポピュラー、RS-7、RS-6の4車種が紹介されています。
 RスペシャルとRポピュラーはチューブラータイヤ装備のロードレーサー、RS-7とRS-6は27インチWOタイヤ装備のスポーツモデルで、RS-6のみマッドガードを装備しています。
 フレームはRスペシャルのみCr.Mo鋼(海野D2×D2)、他の車種はH.T鋼(ハイテンション鋼)です。
 
フレームの材質がカーボンやアルミが主流の現在では、『スチール』とか『鉄』といわれてしまいますが、当時の自転車少年にとって、『クロモリ』は憧れの存在でしたね。

 ホルクスというブランド名はいまでも横尾双輪館のオリジナルブランドとして継続されています。当時を知らない方にも日本のロードレーサーの歴史の一コマを感じていただければ幸いです。

本カタログは神奈川のT・N様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

 注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。


 


表紙です。
サイクルスポーツ誌とニューサイクリング誌の昔からの読者なら、片手を上げたレースマンのこのイラストは記憶に残っているのではないでしょうか。

 


「本当によい自転車とは」というタイトルで、横尾さんが得意としている車種について説明しています。

「あなたのサイズであなたの好みを生かした機能の良い車」

 あなたのサイズ;
  体に合わせて一台一台作るオーダーメイド

 あなたの好み;
  もしスピード用ならこんな嬉しいことはない

 機能の良い車;
  ホルクスの腕のみせどころ

・・・・いかにもスピードモデルが得意の横尾さんらしい説明です。

 


このページではフレームについて説明しています。

標準的な寸法、溶接方法、バテッドチューブについて解説されています。

寸法では、チェーンステーが432mm、ホークオフセットが55mmというあたりが時代を感じますね。

フレームは低温溶接のラグレスが標準だったようで、最高級車のRスペシャルは海野D2×D2(デイバイデイと呼んでいたと思います。)クロームモリブテン鋼ダブルバテッドチューブを採用しています。

 


ホルクスで採用している外国部品についての説明です。

昔からのサイクリストにはお馴染みのブランドが並んでいますね。

 


ここから、各車種の紹介となります。

Rスペシャルは\75,000前後とあります。1964年当時の大卒初任給が約\20,000程度なので、2008年現在に換算すると、約75万円というところでしょうか。

パーツは当時のロードレーサーとしては最高級の物をアッセンブルしていますし、フレームも国産としては最高クラスのものだったことを考えると、意外に現在のカーボンフレームの高級ロードの価格帯と変わらない気もしますが、今から40年以上も前に、1台の自転車にこれだけの費用を掛けられるサイクリストはどのくらいいたのでしょうか。

Rスペシャルです。当時の最高級ロードレーサーとして、駆動系はカンパニョーロ、ブレーキはユニバーサルセンタープル(MODEL#61)、サドルはブルックス、ハンドル回りはアンブロッシオ?などでまとめられています。直付工作が全くなく、前後1/2メッキ仕様のフレームですが、全体的にはイタリアンレーサーの雰囲気満点ですね。※写真をクリックして拡大

こちらはスピードモデルのRS7、RS6です。どちらも27インチWOタイヤ装備なのが時代を感じさせます。RS7のリヤディレイラーはユーレ・アルビーですね。RS6は松葉ステータイプのマッドガードを装備したクラブモデル仕様です。※写真をクリックして拡大

 


裏表紙の写真は東京オリンピックの前年に東京で開催されたプレオリンピックの自転車競技を撮影したもののようです。

ちなみに翌年の東京オリンピックのロードレースには、あのエディメルクスがベルギー代表として走っています。


 

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