追憶のカタログ展Part66:1964JASCA

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追憶のカタログ展


− Part66:1964 JASCA
< JApan Sports Cycle Association >  −

 Part66は1964年発行と思われるJASCAのカタログです。JASCA "Japan Sports Cycle Association" の略称で、スポーツ車用パーツを生産していた国内の自転車パーツメーカー12社から構成されていた組織です。私もこれ以上の詳細な情報は持ち合わせておりませんが、日本のスポーツ車とサイクリングの振興を目的にしていたものと思います。
 このカタログに記載されている会社は大阪を中心とする以下のメーカーです。カッコ内は当時の主力製品です。

  • 新家工業株式会社(リム)

  • 株式会社極東製作所(ペダル)

  • 島野工業株式会社(3スピード内装ハブ・フリーホイール)

  • 株式会社杉野鉄工所(ギヤクランク)

  • 株式会社太平サドル製作所(サドル)

  • 大同工業株式会社(チェーン)

  • 株式会社高木鉄工所(ギヤクランク)

  • 株式会社高橋サドル製作所(サドル)

  • 南海鉄工株式会社(コースターブレーキハブ)

  • 報國チェン株式会社(チェーン)

  • 有限会社前田鉄工所(フリーホイール・外装変速機)

  • 吉貝機械金属株式会社(キャリパーブレーキ・ハンドル・リムブレーキ・フロントディレイラー)

 このカタログは単なるパーツカタログではなく、各パーツの構造や取り扱い方などにもページを割いており、スポーツ車のパーツ解説書になっています。当時のサイクリストはこういうカタログを読んで、パーツの構造やメンテナンスについて学んだことだと思います。

 以下、A5版見開き90ページ以上の本カタログの中から何枚か抜粋した画像を掲載します。

本カタログは大阪のN・M様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

 注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。


表紙です。

巻頭の「はじめに」にはサイクリングの楽しさについて語られています。

サイクリングの楽しみ方という事で、サイクリングの種類とそれぞれのポイントについて説明されています。

JASCAに加盟しているメーカーが製造販売しているパーツの目次です。以下にその中からいくつかのパーツについて紹介されているページを抜粋します。

島野は内装変速機が紹介されています。このカタログにはまだ外装変速機は登場していません。当時の島野はまだ内装3スピードハブが主力製品であり、外装変速機は翌年の1965年に発表されます。しかし、この内装3スピードハブがアメリカ市場進出後の大ヒット商品となり、現在の島野の隆盛を築いたと言えると思います。

こちらは前田鉄工所、すなわちサンツアーの外装変速機です。スキッターは初代のものであり、まだスラントパンタではなく、構造的には当時のユーレーズベルトに似ています。そして右のグランプリがスラントパンタの最初の製品で、パテントを取得したものです。現代のシマノやカンパニョーロのリヤディレイラーはすべてこの横型スラントパンタですが、その源流となったのがこの変速機と言ってよいでしょう。しかし20年間のパテントが切れた直後、シマノはスラントパンタ形式のデュラエース7400番台を発表、カンパニョーロも追従し、以後の激烈なメーカー間競争の果てに、サンツアーというブランドは1994年に台湾資本に売却されたのでした。

吉貝機械金属は今でもブレーキを主力製品とするメーカーです。当時一流ブレーキメーカーであったスイスのワインマンと業務提携し、ワインマンのサイドプルブレーキ、センタープルブレーキのノックダウン生産を開始、 その後には逆にワインマンに部品供与するまでになりました。このカタログではまだダイヤコンペではなく、ワインマンのブランドであるバンカーとなっていますね。

高橋サドルも今でも健在です。当時のスポーツ車用サドルはスピーディックというブランドでした。右下のプロフェッショナルはイデアルの軽合ベースを使用しています。私はこのカタログを見るまでこの事は知りませんでした。


以上、抜粋して掲載しましたが、このカタログには、国産スポーツ車の品質や性能向上を図りサイクリングを世に広めたいというJASCAの意志が込められているように思います。


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