追憶のカタログ展Part63:1965杉野鉄工所

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追憶のカタログ展

− Part63:1965杉野鉄工所 −

Part63は1965年 と思われる杉野鉄工所です。現在の社名は「スギノテクノ」ですが、現在に至るまでチェーンホイール専業メーカーといっていいでしょう。
さて、このカタログを見てわかるのは、この当時はスポーツ車といえどもコッタードクランクが主流であったことです。コッタードクランクというのは、クランクとBBシャフトを固定するのにコッターピンを使うものです。コッターピンはクランク側面に開けた穴から差し込むくさび状のピンで、差し込んだ後にナットで固定して外れないようにします。現在ではシティサイクルを含め、コッタードクランクの自転車はほぼ市販されていないと思います。コッターピンがゆるんだまま乗り続けていると、クランクを回すたびに、「カックンカックン」と音がしましたね。

 ← コッターピンはこんな形をしています。

それに対して、コッターピンを使わずに固定するものをコッターレスといい、当時から70年代あたりまでは、コッターレスというのは高級品として扱われていました。

なお、このカタログの発行年については、過去のニューサイクリング誌のスギノの広告を根拠としました。1965年8月号の広告のプロダイナミックはコッタードですが、10月号の広告ではコッターレスに変わっていますので、1965年とした次第です。

本カタログはold cyclist 様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。


表紙です。プロダイナミックは当時の最高級、最軽量クランクと宣伝していました。

こちらは裏表紙です。スギノの"S"マークも当時はこういうデザインだったのですね。

表紙を開くと、このようになっています。当時は自社製品のほかに、アトム・ノルマンディのハブ、ユーレのウイングナット、TAのボトルの輸入販売をしていました。そう言えば、この頃の国産マスプロ自転車メーカーのカタログを見ると、ロードレーサーにはTAのボトルの採用例が多いです。

プロダイナミックです。このカタログではまだコッタード仕様ですね。私もコッターレスになってからのプロダイナミックはずいぶん長く使っていました。

こちらは後のマキシイの前身といってもよい製品です。スチールコッタードクランクと軽合リングが組み合わされています。ハイダブルという製品名は、私もこのカタログを見て初めて知りました。

こちらはトリプルとホワードの製品です。ホワードの標準ギヤレシオが51-48-45-36というのは、現在のチェーンホイールと比較すると、相当なクロスレシオですね。

こちらの2製品は純レース用として開発された製品です。マィティ5は総力を挙げて開発したものの、国内ではなかなか売れなかったという話を読んだ事がありますが、後のマィティコンペに繋がる製品だったのだと思います。 ダイナミックは中空クランクで、後にダイナホローと言われた製品です。今のシマノのホローテックの大先輩ですね。

輸入品のラインナップです。ハブはノックダウン生産したとありますね。 当時のスギノさんは日本のスポーツ車のレベルアップという事も考えたビジネスをされていたのではないでしょうか。

こちらは今回のカタログ画像をご提供いただいたold cyclist 様がお持ちのマィティ5コッターレスです。当時はカンパニョーロのBBシャフトと組み合わせて販売されていたとの事です。シャフトは一体型ではなく、玉当たり部分が圧入されているタイプです。
それにしても、いくらこの当時の事とは言え、極東のギヤメーカーに対してカンパニョーロがシャフトを供給していたという事実が私には驚きです。
このあたりの話になると、残念ながら私には知識がありません。当時の状況等、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひお話を伺いたいところです。


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