追憶のカタログ展Part58:1964アルプス

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追憶のカタログ展

− Part581964 アルプス −

 創業大正7年、ツーリング車を専門とし、日本のサイクリング界に大きな足跡を残したスポーツサイクルアルプス(アルプス自転車工業株式会社)は、2007年1月28日、多くのファンに惜しまれながら閉店しました。

 今回は、そのアルプスの1964年のカタログです。カタログとしてはPart12のものより更に前のものになります。あえて英文になっている理由はわかりません。
 車種としては、ワールドエース・クラブマンエース・パイオニア・グリーンキャップ・ニューエコーの計5車種が掲載されており、 いずれも当時の英国のクラブモデル風のシルエットを持つ自転車となっています。荷物の搭載はサドルバッグ(当時はツーリングバッグと呼ばれていました。)となり、キャリアは装備されていません。またチェーンホイールはシングル、リヤは4速となっています。 リヤ変速機はいわゆるタケノコ式ですね。三光舎か前田(サンツアー)でしょうか。

 さて、趣味的なサイクリングクラブとしては極めて歴史の長い旧NCTC(日本サイクリスツツーリングクラブ)のメンバーだった大先輩の方々が書かれた紀行文などを読むと、愛車がアルプスだった方がとても多いですね。

 すなわち、アルプスは日本のサイクルツーリング史を語る時には欠かせないブランドであり、車種名にもあるように、正に日本のスポーツ車のパイオニアだったと言っても過言ではないと思われます。

なお、この本カタログは old cyclist 様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

 注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。 著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。

以下の画像をクリックすると、横1024ピクセルの拡大画像が表示されます。



表紙は疾走しているレーサーのシルエットであり、アルプスの得意としている自転車とは異なりますね。

なお、この自転車は横型のリヤ変速機、ブレーキ本体形状、チェーンホイールデザイン等から、当時の国産パーツが組み付けられたものと推察されます。


ワールドエース、クラブマンエースはオーダメードとありますから、スケルトン指定やパーツ変更も出来る高級車だったのでしょう。
ワールドエースはCrMo(クロームモリブテン鋼)ダブルバテッドチューブ、クラブマンエースはHT(ハイテンション鋼)
ダブルバテッドチューブのフレームで、軽合金部品が多用されています。当時のCrMoですから、海野D2×D2(デイバイデイ)でしょう。

いずれも松葉ステー・フラップ付きマッドガードを装備していますが、ワールドエースはガードステーが前後ともエンドではなく上方に固定されています。またブレーキがセンタープルであり、サドルもやや細身に見えることから、どちらかと言えばスピードモデル(快走車)と思います。

それに対して、クラブマンエース はダイナモセットやカンティブレーキを装備しており、こちらはツーリングモデルとしての性格が与えられている車種と思われます。

いずれも当時の高級スポーツ車であり、60年代初頭の大卒初任給のざっと2ヶ月分以上の価格です。



パイオニアはHT(ハイテンション鋼)
プレーンチューブのフレームでオーダメード、グリーンキャップはおそらく普通鋼管フレームのレディメードです。

いずれもサイドプルブレーキで、チェーンホイールは鉄製となっており、アルプスとしては中級品の位置づけです。

グリーンキャップのフレームサイズは20インチ、21インチとありますが、当時はミリ表記ではなく、インチ表記が普通でした。ミリ換算すると、510mm、533mmです。ちなみに私自身がサイクリングに目覚めた70年代前半も、まだインチ表示は残っていましたね。



こちらは 普及品タイプのニューエコーです。ハンドルやブレーキも鉄で、マッドガードはステンレス、ギヤは3段です。

なお、この当時は練馬営業所があったのですね。十三間道路というのは、今の目白通りです。

また『東京自転車信用販売加盟店』というのは、おそらく月賦販売も取り扱っているということでしょう。
『月賦』という単語も今やほとんど死語ですね。
ちなみに日本初のクレジットカードは、1960年の丸井の「赤いカード」です。

 

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