追憶のカタログ展Part50:1960? 東叡社

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追憶のカタログ展

− Part50:1960? 東叡社 (1960? TOEI) −

 Part50は1960年頃と思われる東叡社のカタログです。2つ折り見開き2ページの簡潔なパンフレットで、上野時代のものです。東叡社は1955年にこの地で創業し、1966年に首都高速1号線の建設工事にともなう立ち退きで荒川区町屋に移転しています。このカタログの正確な発行年が不明ですが、ある方から1960年と記憶しているとのご意見をいただきました。その方が高校生だったというのは間違い無いということですので、1960年としておきます。

 このカタログには、レーサーが1車種、 旅行用が4車種の計5車種の写真と説明が記載されています。最高級旅行車のランドナー、手頃な価格の旅行車のフェデラル、キャンピング車のブルーバード、女性向けのレディモデル、そして純競技用のスピードマスターです。
 
標準価格帯は、レディモデルの\28,000からスピードマスターの\75,000となっています。当時の大卒初任給を調べてみると約\20,000。これは現在の約10分の1です。すなわち大卒初任給ベースで現在に換算すると、28万円から75万円となりますね。使用している部品の品質や性能は比較になりませんが、当時すでに高品質のオーダーメイド車として評価されていた事を考えると、現在の高級スポーツ車の価格帯と意外に近いところが興味深いです。

 もっとも、当時は一般用の自転車自体が現在と比べるとはるかに高額でした。マスプロメーカーの一般スポーツ車でも2万円以上が当たり前だった時代です。今の一般車はスーパーやホームセンターでも売られる耐久消費財になってしまいましたが、当時は自転車も貴重品で、きちんと修理しながら長く使い続けた時代でもありました。

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本カタログはold cyclist 様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。


 レディモデル以外はいずれもクロームモリブテン鋼使用となっていますが、ランドナーとスピードマスターは、海野D2×D2ダブルバテットチューブが使われています。いずれも低温溶接ラグレス加工ですが、当時のトーエイの得意とするところであったのでしょう。
 ロードレーサーのスピードマスターのチェーンホイールはスギノマイティ5、ランドナーとブルーバードはスギノプロダイナミック(コッタード)が使われているようです。いずれも当時の最高級国産チェーンホイールでした。
 またランドナーに採用されている540型T式カンティブレーキ、前後変速機はいずれもトーエイオリジナルです。
 部品やフレーム設計、工作は確かに時代を感じさせますが、日本のオーダメイドサイクリング車の最先端であったのは、まぎれもない事実ですね。

 

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