追憶のカタログ展Part28:1967年 国産サイクリング車

  追憶のカタログ展先頭ページに戻ります

追憶のカタログ展

− Part28:1967年 国産サイクリング車 −

 Part28は1967年の国産サイクリング車を何台かピックアップしてみました。なお今回の画像はカタログではなく、当時の自転車専門誌の一つである「旅とサイクリスト」という雑誌のグラビア広告からの再録となっています。「旅とサイクリスト」は当時大阪のサイクリング・タイムス社が発行していた雑誌で、どちらかと言えば関西圏メインのものです。通称「旅サイ」と言っていたようです。
 今回はブリヂストン2台、丸石2台、ツバメ(アラヤ)2台、片倉シルク1台、ツノダ1台の合計8台を載せています。なお文中で使っている用語やパーツ名の中には、現在では使われなくなったものも多数あるかと思いますが、ご了承ください。
 ちなみに当時の大卒初任給を調べてみたところ、約26,000円となっていました。それぞれの自転車の価格と見比べてみてください。
 では、
当時少年時代を過ごした人にとってあこがれの一つであった「10段変速ドロップ」の世界をお楽しみください。

注.下記の画像は著作権保護対象と思われますが、本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとし、特に著作者には届出しておりません。 著作権保持者や関係者の方は、何かございましたら、即刻削除等の処置を致しますのでご連絡下さい。


 


ブリヂストン「ダイヤモンドレーサージュニア10」

DNBがOEM供給したフロント変速機、サンツアースキッターの後変速機、鉄コッタードクランクに軽合ギエのスギノDJTチェーンホイールでまとめられた入門用快走車というところです。
フレームはBSお得意のダイカストフレームです。
ヘッドランプはJOSっぽい構造となっているBSオリジナルのものです。
ホイールサイズは当時の快走車の標準ともいえる27×1・1/4です。
普及価格帯の自転車なので、ハブはQRではなくウイングナット式ですが、そのウイングナットがユーレールックスというところが、今から見るとすごいですね(笑)

 


ブリヂストン「ダイヤモンドランドナー15」

こちらは本格的なランドナーとして発売されたもので、見た目も仕様もなかなかのものではないでしょうか。
当時の国産高級スポーツ車には、意外と多くの輸入部品が採用されていました。
今の人達にはピンとこないかもしれませんが、当時の国産のハブやブレーキ、変速機などの部品は、性能的にも機能的にもまだまだ不充分なものも多かったのです。
この自転車の場合には、ノルマンディ製ハブ、ユーレールックスウイングナット、マファッククリテリウムブレーキ、マファックギドネットブレーキレバーが採用されています。いずれもフランス製で、当時定評のあったものです。
チェーンホイールは、アウター/インナーともに交換可能でクランクも軽合という、当時としてはハイスペックなスギノフロンティアエースのトリプルが採用されています。
またリヤ変速機はWワイヤー式のサンツアーコンペティションツインが使われています。
ヘッドランプはBSオリジナルの砲弾型でツインヘッド仕様、もちろんテールランプも点灯式です。

リヤのパニヤ台やトークリップも標準装備されており、買ってすぐに本格的ツアーに出かけられそうなスペックとなっていますね。

 


丸石「スピード日本(レーシングモデル)」

当時の丸石と言えば「スピード日本」ですね。この自転車はマッドガードとスタンドをはずせば、ただちにロードタイムトライアルに使えるとあり、当時の英国のクラブモデルに通じるものがあります。
この自転車にも、ノルマンディ製ハブ、サンプレックスプレステージ変速機、ワインマンセンタープルブレーキ、TAボトルなと゛、多くの輸入パーツが採用されています。ポンプとステムもフランス製とあります。
ホイールサイズはやはり27×1・1/4です。

それにしても「時速60km/hを軽くオーバーする超性能を備えている」といううたい文句がすごいです。

 


丸石「スピード日本(キャンパー)」

こちらはリヤにサイドキャリヤとサイドバッグを装備したキャンピング車です。
ツーリング用ですから、ランドナーバー、ギドネットレバー、ツインランプ等を装備しています。
 フロント変速機はダイヤとなっていますが、これは吉貝機械金属(ダイヤコンペ)製のものです。
ホイールは26×1・3/8リムに26×1・1/2のタイヤです。いわゆるオーバーサイズというものですね。
 それにしても、ギヤ比はフロント48×36、リヤ15〜24ですから、現在のMTBなどと比べると、相当クロスレシオですね。

 


ツバメ「スワローレーサーデラックスSRD」

ツバメはリムで有名なアラヤのブランド名です。
アトムのハブにアラヤ27×1・1/4リムのホイールを装備したレーサータイプで、スギノプロダイナミックチェーンホイールやワインマンセンタープルブレーキ、GBステムなどを採用している高級車です。
ちなみにギヤ比はフロント50×48、リヤ14〜21と、相当なクロスレシオです。フロントなんて歯数差2枚しかありません。

この自転車に乗って「スピードに挑む夢」を実現した「若人」はどのくらいいたのでしょうか。価格からみると、普通の少年達には高値の花だったと思います。

 


ツバメ「スワローキャンピングSC」

こちらは前後サイドバッグフル装備のキャンピング車で、価格は当時の大卒初任給の3倍の78,000円という高級車です。現在にそのまま置き換えると約60万円となりますね。お買い上げの方にはキャンピングセットをもれなくお送りするとありますが、その値段も含まれているのかも。

CLBカンティブレーキ、プロダイナミックトリプルチェーンホイール、サンプレックスリヤ変速機などが装備されています。長距離用ということなのか、スピードメーターまで標準装備です。

 


シルク「スピードマスターCA15」

こちらは本格的スポーツ車で知られた片倉シルクのキャンピング車です。
価格はスワローキャンピングと比較すると、ずっと現実的な感じがします。
リヤ変速機はユーレーアルビーが採用されています。いかにもシルクらしいバランスのいいパーツ構成で、この自転車で長距離ツアーや○○一周などに出かけたサイクリストも多かったのではないでしょうか。

最後はちょっと毛色の変わった自転車です。ツノダのロッキングタンデムという自転車ですが、なんとソロに早変わりするというものです。このアイデア、現在でも使えそうな感じです。

 

  追憶のカタログ展先頭ページに戻ります

inserted by FC2 system