追憶のカタログ展Part24:1991年 サンツアー

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追憶のカタログ展

− Part24:1991年 サンツアー −


 Part24は1991年のサンツアーカタログです。このカタログは前年1990年10月に発行されていますが、実はこの時すでに企業としての頂点を過ぎて凋落の道を辿っていたのでした。もちろんその後1992年に発表したMD(マイクロドライブ)など、今につながる製品もありましたが、85年のプラザ合意に端を発した急激な円高やシマノのSISの好調な販売の影響をまともに受けて、この頃にはシマノとの企業力に明確な格差がついていました。まもなくサンツアーはモリ工業の支援の元、SR-SUNTOURとなり、1995年には台湾資本に売却されたのでした。

 しかし当時のサンツアー製品は、そのしっかりした作りや高い性能から、今でも多くのファンが存在します。もちろん私もその一人です。前述したMD(マイクロドライブ)やスラントパンタの思想と技術は、現在の各社製品に受け継がれており、一時代を築いたメーカーであることは厳然たる事実だと思います。
 それでは20ページ以上にわたるカタログをご覧下さい。なお本ページでは見開き2ページを1つにまとめた形で掲載しています。

注.下記の画像は本ホームページではあくまで趣味の範囲での使用に限定するものとして掲載しております。


各画像をクリックすることにより、別ウィンドウに横1960ピクセルの拡大画像が表示されます。

1991 SUNTOUR CATALOG

表1(表紙)と表4(裏表紙)です。表1がMTBレース、表4がロードレースの写真で、製品がサイクルスポーツのための道具であるというイメージが強いですね。


Creative Minds,Creative Technology -SUNTOUR

雄大かつ荒々しい山岳地帯を行く2台のMTBを背景にサンツアーの理念をうたっています。最後の3行にはこう書かれています。「バイシクル愛好家として共感意識でメカづくり。わたしたちは"クリエイティブ・ピープル"を自負しています。」


FEATURES

ここから4ページにわたって、サンツアーご自慢のメカについて説明されています。

"X-PRESS"は現代では普通となった変速位置決め機構を組み込んだMTB用のシフトレバーで、シマノのラピッドファイヤーと双璧をなした製品です。

"コマンド"は変速位置決め機構を組み込んだロード用のシフトレバーで、シマノSTIレバーより前に発表されました。インターネットオークション等で今でも時折出品されますが、未だに人気が高いパーツです。


FEATURES

ここで興味深いのは"ビースト"です。マイクロモーターで鉄道線路のポイントを切り換えるような動きで変速するシステムでした。しかし、"ビースト"の製品化にともなう多大な開発費とライセンス料の負担がサンツアーの足かせとなったのも事実でした。


XC-PRO

ここから製品紹介ページとなります。最初はMTB用最高級パーツのXC-PROです。ヘッドパーツ・BB・ペダル・ハブには"グリスガード"システムが装備されています。当時シマノのXTRと並んで、各社の最高級MTBに装備されていました。


XC-COMP

セカンドグレードのXC-COMPです。"グリスガード"こそ装備されていませんが、必要充分以上の機能と性能だったと思います。ちなみに私が購入した唯一のMTBであるアラヤのマディフォックスがXC-COMPフルセットでした。シフティング性能とブレーキの効きの良さが、当時としては印象的でした。


XC-LTD

サードグレードのXC-LTDです。上位2製品との機能的な差はほとんどありませんが、個々の部品の材質や仕上げの違いで価格帯を下げていました。


X-1

ここからの3ページは、中級以下のクラスの製品群の紹介です。


XCM/XCT/XCU

これらの3製品はマスプロメーカー向けのコンポーネントだったのではと思います。


SUPERBE PRO

ここからはロード系パーツの紹介となります。最初は当然ながら"シュパーブプロ"です。シェア的にはデュラエースの後塵を拝していたでしょうが、回転部分の精度や耐久性などはデュラエースよりも高かったと言う人も多いようです。今でもディレイラーやチェーンホイール、ハブ、ヘッドパーツなどはちょっと頑張って探すと手に入ります。私もブレーキ本体以外は使ったことがありますし、キレのいい変速性能のディレイラーなどは最近の製品にも決してひけをとらないと感じました。
なお2種類用意されているペダルの内、ビンディングタイプのものはタイムクリテリウムのOEMバージョンとして供給されたものです。 私も新品を保有していますが、このペダルのクリートを装着可能なシューズがもう市場にありません。


SL

"SL"は軽量化を図ったコンポーネントですが、あまり流通しなかったように思います。ブレーキは完全に吉貝のOEMですね。私としては80年代のサイクロンやスプリントなどのほうが印象に残っています

 

GPX/RADIUS

"GPX"、"RADIUS"はシマノで言えばサンテとかオーレの対抗品でしょうね。


Other Components

このクラスになると、私も現物を見た事があるのかどうかもあまり記憶にありません。


Options & Accessories

各種オプション製品のページです。マイクロライトやコマンドシフターは今でも時々オークションなどに出てきます。


Accessories & System Chart

ツールやアクセサリとシステムの組み合わせ表です。


こうして見てくると、上級製品の統廃合がかなり進んでいる一方、乱立気味とも思えるマスプロメーカー向けの普及価格帯のコンポーネント群があり、メーカーとしてかなり苦しい時期にあった事も伺えます。
しかし長年にわたってサンツアーのパーツが多くのサイクリストのツーリングやレースの友として愛された事は事実であり、今でも多くのファンが存在する事が何よりの証拠ではないでしょうか。

最後はやや感傷的なコメントになりましたが、一人のサンツアーファンとしての心情としてご了承下さい。

 


 

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