追憶のカタログ展Part11:1982サンツアー

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追憶のカタログ展

− Part11:1982サンツアー −

 Part11は1982年のサンツアーカタログです。1991年までの約10年間にサンツアーは大きな成長を遂げます。シュパーブプロを擁してヨーロッパのプロチームをスポンサードし、XCシリーズでシマノと並んで世界のMTBパーツ市場を席巻する栄光の時代が、1980年代前半に始まったと言ってよいと思います。
 なお三角形の赤いシンボルマークは、前年の1981年から登場しました。三角形は安定・精密・信頼を、2本のラインは上昇気流を、そしてレッドの三角形と黒のロゴが太陽・情熱・挑戦を表現しているということでした。
  このカタログにはまだMTBパーツは登場していませんが、初期のシュパーブプロ、サイクロンマーク2、BL、Vxをはじめとする各種変速機、マイクロライトやニューウイナーの7速フリー、ウルトラ6チェーン等のバラエティに富んだ製品がラインナップされています。
 それでは、表紙を含めて全24ページにわたるカタログをお楽しみ下さい。なお本ページでは、見開き2ページを1つにまとめた形で掲載しています。

 


 
表と裏の表紙です。
シンボルマークを効果的に配置して、シンプルながら力強い表現の表紙と思います。


 

 ここから5ページにわたって、サンツアーご自慢の特徴を細かく説明しています。
 一番最初は、当時サンツアーのパテントだったスラントパンタですね。フリー歯先とガイドプーリーの間隔を一定に保ち、変速性能を高めるというものです。
 ただ当時の私は、フリーの大きさが歯数によって異なる上、サンツアーはシングルテンションなので、間隔は常に一定にはならないなと素朴な疑問は感じていました。
 ですが、比較的クロスレシオの場合、サンツアーのリヤ変速機は変速の切れがいいなとも感じていて、好んで使っていたものです。
 この頃、正確には80〜81年末にかけて、ライバルであるシマノはエアロダイナミックを前面に押し出したAXシリーズを展開していましたが、それが大失敗となっていました。サンツアーは、マイクロライト・エアロダイナミクスフォルムというコンセプトで、サイクロン・マーク2などを発表。本体の小型化によるエアロ効果をうたっていました。

 


 

 このページでは、パワーシフター、ニューウイナー、ウルトラ6チェーンなどと並んで、おもしろいものがあります。
 その一つはセルフアジャストメカニズムで、リヤチェンジに同調させて、フロント変速ワイヤーを微妙に調整し、フロント変速機の羽とチェーンの接触を防止するというものです。
 またシュパーブプロのペダルはチェンジャブルプレートとなっており、トラック用とロード用のペダル本体を共用出来るようになっていました。このプレートのみは今でも都内の店で大量に販売していますね。


 

 ここで興味深いのは、マイテイクリックシステムとICチェンジシステムです。
 マイテイクリックは、今や当たり前となった位置決めチェンジ機構です。シマノでいうポジトロンシステムと同様です。どちらかと言えば年少者、初心者向けシステムとして販売されたものです。シマノも含めて、これが後年のアキューシフトやSTIにつながっていくわけですね。もっともこれ以前から、低床式ジュニアスポーツ車の世界ではトップチューブ上のコンソールシフトが主流でした。私も小学生の頃は憧れたものでした。
 ICチェンジシステムは、チェーンホイールにフリー機構を組み込むことによって、ペダルを回さなくても変速出来るようにしたものです。確かこれを装備したナショナルのジュニアスポーツ車の広告に、若かりし頃の三浦友和が出ていた記憶があります。FFシステム、すなわちフロントフリーシステムと呼んでいたかな。
 右側はリヤ変速機とサンツアー製エンドの組み合わせによるギアキャパシティー表です。
 当時の変速機に興味のある方は、下に拡大画像をダウンロード出来るようにしましたので、ご利用下さい。

ギアキャパシティー表はこちら


 

 サンツアーがシマノDURA-ACEの対抗馬として、杉野・三信松本・吉貝・三ヶ島・楠木等の各社の協力のもとでレーシングコンポーネントとして発売したのが、シュパーブ・シュパーブプロです。どこかで見たデザインの部品が多いのもある意味当然ですね。
 プロのリヤ変速機は169gと、当時としては最軽量のものの一つでしょう。
 それにしても特にブレーキは本体、レバーとも、某カンパそっくりで、当時のカンパのデザインがそれだけ秀逸だった表れかもしれません。

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 こちらはプロとつかない、ただのシュパーブです。チェーンホイールは当時の杉野マイテイコンペそのままです。もっとも本家杉野は、5アームのデザインを変更したスーパーマイテイを既に発売していたかと思います。
 またステムは多分楠木だと思いますが、もしかしたら吉貝でしょうか。詳しい方がおられましたら、教えて下さい。
 ペダルも三ヶ島ユニークそのままという感じです。

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 右側のページから、シュパーブ以外の製品となります。
 このページはサイクロン及びサイクロンマーク2です。サイクロンは当初は純レーシングパーツとして販売されましたが、このカタログを見てもわかるように、ロングケージのものもラインナップしています。高級ツーリング仕様という事でしょうか。

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 BL、ROAD Vx、ARXは、当時のメーカー製中級スポーツ車に好んで装備されていました。使った事がある人も多いと思います。ROAD VxはVラックスの後継という感じですね。

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 ここからは普及品の製品がならびます。
 V-GT、SEVEN、AGの各リヤ変速機、NSL、AG、SEVEN、COMPE-V、スパートのフロント変速機と、各種変速レバーです。

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 各種フリーホイールです。まだカセットタイプはありません。
 巾を薄くしたウルトラ6チェーンとの組み合わせで、リヤエンド内巾126mmのまま7段を実現している点は、いかにもサンツアーらしい互換性重視の設計思想が見てとれます。今の9段、10段に繋がるものとして評価されてもよいと思います。

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 これも今や主流となったシールドBBです。
 私も以前は、このBBとストロングライト49Dクランク、三ヶ島シルバンツーリングのシールドベアリング入り、もう少し後年になって出てくるスプリントのハブなどを使って、回転部のメンテナンスフリーな旅行車をオーダしたことがあります。
 シールドBBとなる前は、一年に数回分解してグリスアップしたものでした。
 右側には各種エンドやスポークディスクが紹介されています。

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 最後の2ページはジュニアスポーツ車向けパーツ、各種小物、工具などの紹介です。

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