HOME > 自己紹介 - 趣味・好み > プラスチックモデル > 製作記 - ST165セリカ サファリラリー仕様

はじめに

 このページはST165セリカのサファリラリー仕様車の製作記です。このキットはマカオのプラモデルメーカーのBEEMAXから2016年に発売されたもので、日本国内ではアオシマが発売元となっています。

1.ST165セリカについて

セリカ GT-FOUR セリカは1970年12月に登場した日本初のスペシャルティカーで、初代セリカは、当時アメリカで大ヒットとなったフォード・マスタングの影響を多大に受けたと言われています。

 ST165セリカはセリカとしては4代目となるモデルで、1985年8月にモデルチェンジしました。FFコロナ/カリーナのフロアパンをベースに開発されたため、セリカとしては初の前輪駆動モデルとなりました。
 発売当初の広告コピー『流面形、発見さる』が示すように、スタイリングは、流動感のある曲線でなめらかに整形したかのようなデザインとなっています。

 この4代目セリカが発表された当時、アウディ・クワトロに端を発した高速4WDモデルが新世代のスポーツモデルとして流行の兆しを見せ始めます。そしてトヨタは自社の高性能イメージの象徴として、1986年にトヨタ初のベベルギア式センターデフ付きフルタイム4WD、ツインカムターボを装備したGT-FOURを登場させました。GT-FOURは前輪駆動のモデルに比べて高価であり、トヨタとしてもあくまで高性能イメージ作りの旗艦の位置づけだったようです。

 さて、ここで国際ラリーWRCの世界に目を転ずると、1982年から始まったグループBの時代が1986年限りとなり、1987年からはグループAによる戦いが始まっていました。当時のグループA規定では、連続する12か月間に5,000台以上生産された4座席以上の車両がホモロゲーション対象となっており、トヨタの車種で、WRCで勝てる用件である16バルブヘッドのツインカム、ターボ、フルタイム4WDというメカニズムを装備しているのはセリカGT-FOURのみでした。そこで、ホモロゲーション獲得までは、ピンチヒッターとしてMA70スープラでの参戦でしのぎ、ST165セリカGT-FOURは1988年5月のツールドコルスに初登場しました。当初は苦戦したものの、1991年シリーズにおいて、当時絶対王者として君臨していたランチアを破り、カルロス・サインツが自身初のドライバーズ選手権王座を獲得します。これはトヨタのみならず日本の自動車メーカーとしても、初のWRCタイトルとなりました。

 ST165セリカGT-FOURは、限界を超えたメーカー間競争によるマシンの先鋭化が一因となって事故が多発し始めたグループB規定の突然の中止とグループAへの移行により、ある意味急遽檜舞台に立たされたクルマと言えます。元々ラリーで勝つ事を目的としていなかったこともあり、常勝ランチアの牙城を崩すのは容易ではありませんでしたが、WRCで初めて頂点に立ったクルマとして、日本のラリーの歴史に残るクルマの一つとなったのは間違いないと思います。

2.使用キット

Toyota Celica GT-FOUR 1990 SAFARI RALLY VER.  使用キットはBEEMAXの"Toyota Celica GT-FOUR 1990 SAFARI RALLY VER."で、1990年にビヨルン・ワルデガルトサファリラリーに優勝したモデルを再現しています。

 BEEMAXのキットはほぼ100%レースカー、ラリーカーで、日本車が比較的多く、このST165セリカのラリー仕様も、それまでインジェクションキットとしてどこからも発売されていなかった車種となります。

 従来はアオシマが日本国内での発売元でしたが、2020年の春になってから、BEEMAXとアオシマの提携関係が解消?されたようで、今後の新製品はNunuブランドで別の輸入元が取り扱うようです。



3.参考資料

RALLY CARS Vol.20  参考にしたのは、三栄が発行している"RALLY CARS Vol.20 - TOYOTA CELLICA GT-FOUR"です。"RALLY CARS"は、国内外のラリーで活躍したラリーカーを1車種ずつ特集しているムックで、2020年6月現在、Vol.25まで発刊されています。
 当時のラリーシーンの写真、戦歴やクルマの成り立ち、関係者インタビューなどが一冊にまとめられていて、なかなか読み応えがあり、模型製作の良き参考書でもあります。











4.製作前チェック

改修箇所 このキットは一見したところ、前回製作したTA64セリカ同様、実車の雰囲気が良く再現されていますが、BEEMAXとして最初に発売されたキットということもあり、細かくチェックしてみますと、「う〜ん、どうしようか」と思う点がいくつもありました。粗探しするとキリがありませんが、以下の点について気になりました。

4-1.大径ホイールとタイヤ

 ホイールもタイヤも見掛けは実車のものをよく再現していますが、サファリラリー出走車としては、明らかに大きすぎると感じました。キットのホイール径は実車換算で17インチ以上ありますが、当時のグラベル用であれば、おそらく16インチだったはずで、ジャンクボックスをあさってみたところ、幸い一回り小さなO.Z.ラリーレーシングを発見、ホイール径は16インチ弱で、これを使う事にします。 タイヤはそのホイールに合わせて一部カットして使う事になりそうです。

4-2.リヤサスペンション

 実車はフルタイム4WDで前後ともストラット型式のサスペンションですが、このキットのリヤサスペンションは実際にあり得ない形態です。まあ、アンダーガードでほとんど隠れてしまうし、ひっくり返して裏面を見ることもそうそう無いので、ここは割り切りですね。

4-3.サイドシル形状

 キットはスポーツタイプの市販車のオプションによく見られるサイドシルカバーのように外側にせり出す形状となっていますが、実車画像を見ると、まっすぐ下にのびているので、実車と同様な形状に加工します。裏側から切れ目を入れてから内側に向かって曲げてから瞬間接着剤等で固めれば良さそうです

4-4.上げ底気味の内装

 内装パーツが何故か上げ底で、シートなどもそれに合わせて上下方向がこじんまりとしています。底を抜いて、作り直すことも考えましたが、相当大変な作業になりますし、今回はそのまま製作しようと思います。

4-5.その他

 ヘッドライトレンズカットパターンが単なる格子状だったり、リヤスポイラーがボディと一体化しているようにモールドされていたり、細かいところで気になる点は何ヶ所かありますが、あまり気にせずに製作していきます。

5.ディテールアップ

アニマルバー 実車画像をチェックして、1/24で再現出来る範囲でアニマルバーをディテールアップしてみました。

@車体下側から伸びるアニマルバー固定用ステーがアニマルバーを挟んでボルト止めしている箇所の再現。
→市販の極小ボルト再現キット使用

A補助ランプ用ウォッシャーノズル?の再現
→市販の極小リベット再現キット使用

B補助ランプ用ウォッシャーノズル?固定用フランジの再現
→ハセガワ製金属光沢シートを幅1mm弱に切ったものをアニマルバー4箇所に貼り付け

C補助ランプ用ウォッシャーホース?の再現
→昔、恵比寿にあったミスタークラフトで買ってあった半透明オイルチューブをウォッシャーノズル?固定用フランジの下部に瞬間接着剤で固定し、左ヘッドランブ下部から車体に引き込み(実車はホースが2本ですが、さすがにそれは再現が難しく、1本にしてあります)

補助ランプ用ウォッシャーに?マークを付けているのは、実車写真での類推であり確証が得られていないためですが、サファリラリー独特の装備としてあり得るのではないかと想像しています。

 なお、内装は特に改造工作はしていません。別売りのエッチングパーツのフットレスト等を追加し、デカール貼りと細部の塗装を施した程度で済ませました。

6.ホイールとタイヤの小径化

ホイール加工  前述したように、キットのホイール径は実車換算で17インチ以上あり、私の感覚で結構違和感がありました。幸い一回り小さなOZラリーレーシングが見つかったので、これを使う事にしました。
 タイヤはキットのものがトレッドパターンも当時を再現しているので、外周面で約4mm弱切り取り、瞬間接着剤で貼り合わせて、小さくなったホイールに合わせてあります。ただし、タイヤ幅に比べてホイール幅が広すぎたので、画像にあるような手順で幅を詰めてあります。

 @ホイール内側でホイールを輪切りして幅を詰める
 A切り取った内側部分をひっくり返して、ホイール内側に接着
 B切り取った切断面をペーパーで削って、フランジ部分み残してホイールを完成させる

7.完成

 一通り工作が終わったところで、ホワイトサーフェイサー→ピュアホワイト→クリアーの順に吹きつけて、ペーパー掛けとコンパウンド掛けした後、デカールを貼りました。デカールはサードパーティーの1986年ビヨルン・ワルデガルドの優勝車のものにして、キットではオミットされているマルボロロゴも貼ってあります。その後、更に数回クリアーを吹きつけてから、ペーパー掛けとコンパウンド仕上げを施し、ランプ類やアニバルバー、ホイールハウスとフロア下のマッドフラップなどの外装パーツを取り付けて、一応完成としました。

 相変わらず細かいところが雑ですが、まあこんなところで妥協しました。

完成

 前回製作したTA64と比べると、やはりTA64の方が荒削りながらも迫力あるデザインに感じますが、元々ラリーに使われることを想定していなかったST165もサファリ独特の装備を身にまとうと、戦うマシンに変貌しますね。



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