峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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はじめに
このページはKE25カローラクーペのレース仕様車の製作記です。TE71カローラ1600GT、AE86レビンGTラリー仕様のキットを作ったら、なんとなく歴代カローラを作りたくなってしまい、AE86ラリー仕様に続いて製作過程を記録してみることにしました。
本来はサイクルツーリングのWebサイトに、こういうページもどうかと思いますが、もしお時間に余裕があればご笑覧下さい。
1.KE25カローラクーペについて
クーペは初代の途中から追加されましたが、その時は「カローラスプリンター」でした。1970年5月のフルモデルチェンジを機に、スプリンターがオート店で販売される独立車種となり、クーペはカローラ、スプリンター両車種にラインナップされたのでした。車種としては1200デラックスと1200SLの2グレードで、SLにはツインキャブを装備して77馬力を発生する1200ccの3K-B型エンジンが搭載されていました。
その後、このクーペボディをベースに、新型エンジンであるT型ツインキャブ1400ccのエンジンを搭載するとともに、装備をよりスポーティなものとした1400SRが追加されます。この1400SRをベースとして、更なる高性能を目指して2T-Gエンジンを搭載したカローラレビン/スプリンタートレノが世に出たのはよく知られるところですね。画像は1400SRです。
詳しい情報は今はインターネット上にいくらでもありますので、興味のある方は検索してみて下さい。
2.製作イメージ
前回のAE86はラリー仕様でしたが、今回はレース仕様を製作することにしました。2代目カローラのクーベボディでレース仕様を製作するとしたら、まずは2T-Gエンジンのレビンが頭に浮かびます。ですが、今回は70年代初頭のマイナーツーリングカーレースで、サニークーペやパブリカと激しいレースを戦ったカローラクーペを再現してみようと思います。幸い「日本の名レース100選」を結構購入していましたので、その中のVol.045「1972年日本グランブリ」を参考に製作します。
この日本グランプリのメインイベントは、新旧F2クラスのエンジンを積んだフォーミュラカーレースでしたが、そのサポートレースである特殊ツーリングカー(以下、TS-a/b)レースも、トヨタ/ニッサン/マツダの3大ワークスチーム同士の激しいバトルで観客を大いに湧かせました。2リッタークラスのTS-bでは、スカイラインGT-Rとカペラ/サバンナRX-3の闘い、1.3リッター/1.6リッター混合クラスのTS-aでは、セリカ/レビン/サニーエクセレント、カローラクーペ/サニークーペ/チェリークーペの闘いとなり、3大ワークスチームの三つどもえの闘いとなったのでした。
市販されているキットベースであれば、レビンが妥当なところですが、どうせオーバーフェンダーなどは加工が必要ですし、外観上の差もほとんどないので、ボアアップした3Kエンジン搭載のカローラクーペを製作することにします。
3.使用するキット
2代目カローラクーペそのもののキットは遥か昔の絶版物しかありませんが、TE27レビンであれば、今でもフジミのものが容易に入手出来ますし、自宅には昔のオオタキのレビンもまだ残っていました。内外装で必要な部分はハセガワの1972年日本グランプリから流用出来そうです。
ということで、この3つのキットを使用することにしましたが、ネットオークションではオオタキレビンはかなりの高値で取引されていているようです。私の手持ちキットは相当昔に購入していたもので箱はもうボロボロでしたが、中身に特に問題は無さそうです。肝心の井桁ホイールは残っていませんでしたが、多分昔他のキット製作に転用したのだと思います。
4.事前調査
4-1.ボディ
オオタキとフジミのボディを比較してみると、それぞれボディスタイルに一長一短があります。
フジミはルーフが平面でリヤウィンドウとCピラーの形状がいまいち、オオタキはボンネット先端とボンネット後方のベンチレータの形状がいまいち、かつフロントグリルの幅が広すぎるようです。
そこで、それぞれのボディのいいとこ取りとするために、2つのボディをカットして、前部分はフジミ、後部分はオオタキという組み合わせで合体させることにしました。
オーバーフェンダーとフロントスポイラーはハセガワセリカのものを流用しますが、ボディに合わせた削り込みが必要になりそうです。リヤスポイラーはオオタキのものです。
4-2.ホイール
当初はハセガワセリカの井桁ホイールとタイヤを使用するつもりでしたが、外径が大きすぎるとともにタイヤ幅が狭く、当時のTs仕様のイメージではありません。リム幅も狭く、オフセット量も市販車用の感じです。
そこで、フジミの別売りトムスホイールをベースに、実物に近いイメージのホイールを作成しようと思います。
4-3.内装
内装はハセガワセリカのものにフジミのダッシュボードを組み合わせます。バケットシートやステアリングホイールなどはジャンクパーツ箱から適当にあさることにします。
5.ボディ加工
5-1.ボディの合体
前項に書いたように、ボディはフジミとオオタキの「ニコイチ」です。ボディをどこで合体するか検討した結果、Aピラー前方で合体することにして、それぞれのボディをピラニアソーで切断しました。画像は、切断したボディの裏側に接着しろとして0.3mm厚のプラバンを接着してからボディを合体した直後のものですが、ボディ断面もまあまあ一致してホッとしました。
5-2.レーシングタイプへの改造
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オーバーフェンダー交換
ボディと一体成形のオーバーフェンダーをデザインナイフで切除し、ハセガワセリカのオーバーフェンダーに交換しました。
ボディ断面の形状が違いますが、指先で慎重にしごいてボディにフィットするようにしながら瞬間接着剤で固定しました。固着出来たところで、当時のレースの写真を見ながら、前後方向の両端の形状をヤスリで整形しました。
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フロントグリル改修
ボディサイドに回り込んでいる部分までカットしてから、プラバンで製作したヘッドランプカバーを取り付けました。なお、キットはマイナーチェンジ後のモデルですが、1972年日本グランブリ出走車はマイナーチェンジ前のモデルのため、フロントグリルとボンネットの形状が異なります。ボンネットの修正も考えましたが、今回は修正せずそのまま使うことにしました。
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前後スポイラー取り付け
フロントスポイラーはハセガワセリカから流用しますが、やや小振りなため、プラバンを貼って整形し大型化しました。リヤスポイラーはオオタキの物をそのまま使います。
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フィラーキャップ取り付け
左Cピラーのフェールリッドを削り落とし、トランクに約6mm径の穴を開けて、ジャンクパーツのフィラーキャップを取り付けました。オオタキのキットはトランク部分の幅が広いので、キャップを取り付ける前にトランク中心部分の幅を3mm程詰めておきました。また、このキャップはグループA時代の物で、実際の物とは異なりますが、まあ雰囲気が出ればいいかと(笑)
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フロントバンパー取り付け部加工
フジミのキットはフロントバンパー裏の開口部の大きさが違いますし、フロントフェンダー部分のプレスラインも再現されていなかったので、実車写真を見ながら加工してみました。
6.ホイール・タイヤの加工
ホイールは定番のいわゆる井桁タイプです。ですが、フジミレビンのホイール、ハセガワセリカのホイールともに形状や外径の点でどうもしっくりこなかったので、フジミの別売りトムスラリーをベースに加工しました。
加工といっても、ジャンクパーツ箱を引っかき回して見つけたメッシュタイプのホイールからリム外周部分を切り出して、トムスラリーホイールに接着しただけの簡単な工作です。
このホイールに適合するスリックタイヤは見つからなかったので、内径の大きなスリックタイヤを現物合わせでカットして径を詰めて、瞬間接着剤で貼り合わせたものを作成しました。
7.内装の製作
内装はハセガワセリカのものがベースですが、黒一色にしてしまえば完成後はよく見えないので、けっこう手抜きです。ダッシュボードの計器類とスイッチボックスは、モノグラムの昔のNASCARストックカーのダッシュボードから切り出した物で、やや大きめですが、実車と同様4つの計器ということで、これで良しとしました。
3点式ロールバーはハセガワセリカです。画像にはまだ写っていませんが、シートは東京マルイのトムススターレットのもの、ステアリングホイールは当時のTRD製のものに似たものをジャンクパーツ箱から見つけました。
8.仮組み
ボディやホイール、内装などの加工が一段落したので、一度サーフェイサーを吹いて仮組みし、ボディの仕上がり状況や全体的なイメージを確認してみました。まあ、私の感覚では、このくらい仕上がれば充分です。
なお、今回は下回りはほとんど未加工で、ホイールベースと車高の微調整をしてセミグロスブラックを吹いただけです。
8.塗装・マーキング
塗装は、1972年日本グランブリのサポートイベントのTS-aレースに出走して、1300cc以下のTS-a-Tクラス1位となったトヨタワークスの久木留博之選手のカローラクーペとします。当時のトヨタワークスはホワイトカラーのボディのボンネットやオーバーフェンダーを選手毎に塗り分けており、久木留選手のカローラクーペはイエローです。
8-1.デカールの製作
デカールは、ハセガワの1972年日本グランプリのモデルと鈴鹿500キロのモデルのデカールをベースとしました。
2枚のデカールをスキャニングしてPCに取り込み、ゼッケンは竹下憲一選手の"68"を加工して"36"を作成しました。具体的には"8"を"3"に加工して"63"としてから、2文字を入れ替えれば"36"となります。
ローマ字の選手名"H.KUKITOME"、フロントスポイラーの車名"COROLLA"は、当時の写真を見ながらデザインが似ているフォントで作成し、スポンサーマークは必要な物を選び、最後にはがき大のサイズに配置した画像で保存します。
作成した画像を反転加工してから、市販のデカール作成用プリンタ用紙に印刷すれば完成です。今回はエーワンの「自分で作るデカールシール」を使用しました。用紙は下地が無地のものと白色のものがあるので、ゼッケンは白色のものにする必要があります。また、台紙は全く透けていない厚手の紙なので、貼る時の位置決めは慎重に行う必要がありました。
8-2.塗装とマーキング
塗装はタミヤのスプレーを使用して、ボディ全体をビュアホワイトでスプレーしてから、ボンネット、オーバーフェンダー、フロントスポイラー、その他ボディの一部などをクロームイエローで塗り分けました。充分乾燥してからクリヤーをスプレー、その後に自作デカールを貼り、仕上げとしてクリヤー吹きつけとペーパー掛け、コンパウンド磨きを数回繰り返しました。前後ウインドウシールドやテールレンズはハセガワの曲面追従シートを利用しています。
9.とりあえず完成
最後にワイパー基部やウインカーレンズ、前後ウインドウなどを取り付けて、とりあえずここまで出来上がりました。リヤサイドウインドウは透明プラバンで作成して外側から取り付けています。実車のフェンダーミラーはイエローに塗られたやや丸っこい形状のものなので、これはいずれ再現させます。
各バネル分割部分のスミ入れをはじめ、細かいところはまだいくらでも手を加える必要はありますが、それはまた少しずつ手直ししていくつもりです。