HOME > 自己紹介 - 趣味・好み > プラスチックモデル > 製作記 - AE86レビン Group-Aレース仕様

はじめに

 このページはAE86レビンのGroup-Aレース仕様車の製作記です。AE86レビン2ドアの国内ラリー仕様車は作成済みなので、レース仕様車も作成することにしました。

1.AE86レビンについて

カローラレビン  1983年5月にカローラシリーズは5代目の80系にモデルチェンジされ、セダン系はカローラ初のFWD(前輪駆動)となりましたが、クーペ系は従来通りRWD(後輪駆動)のままのモデルチェンジで、カローラレビン/スプリンタートレノと呼称されました。
 カローラレビン/スプリンタートレノに搭載されるエンジンは、新開発の4A-GEUと70系からのキャリーオーバーの3A-Uがありましたが、4A-GEUを搭載したGT系が、車両形式E-AE86、いわゆるハチロクです。
 詳しい情報は今はインターネット上にいくらでもありますので、興味のある方は検索してみて下さい。

2.製作車両

ミノルタα-7000カローラ  1985年に始まった全日本ツーリングカー選手権は、FIA(国際自動車連盟)の定めるグループA規定を満たす改造を施したツーリングカーによるレースでした。当時のグループAは連続する12か月間に5,000台以上生産された4座席以上の車両が公認対象で、改造範囲も狭く、外観上はほぼ一般市販車に準じていました。したがって、1970年代に人気を博した特殊ツーリングカーのように、いかにもレース用に作られたような外観上の迫力はありませんが、普段街中を走っているクルマによるレースは観客にとって、より身近に感じられる点が人気でした。
 今回製作するAE86レビン3ドアクーペは、その全日本ツーリングカー選手権に参戦したクルマです。レビンで参戦した有力チームとしては、トーヨータイヤがスポンサードしたOBJECT-T、トヨタ系チームの大御所であるトムス、土屋エンジニアリングなどがありますが、今回は、さわやかなホワイトとブルーのカラーリングが当時個人的に気に入っていたミノルタレーシングチームのミノルタトムスα-7000カローラとします。
 ちなみにこのクルマに乗ったのは、さまざまなカテゴリーのレースカーを乗りこなす職人肌の真田睦明と1982年ミスユニバース日本代表の奥脇絵里という異色コンビでした。




3.使用キット

使用キット  ミノルタα-7000カローラは、前期型のバンパーに後期型のフロントグリルが組み合わされています。また当然ながら内装はレーシング仕様にしなければなりません。もちろんミノルタレーシングチームのデカールも必要です。
 そのため、3種類のキットを用意しました。

  • アオシマ製 AE86カローラレビンGT-APEX 後期型
    ボディ、下回り、フロントグリル等
  • アオシマ製 TRD AE86レビン N2仕様
    前後バンパー、前後ライト回り、内装等
  • フジミ製 ミノルタ トムス ハチロクレビン
    デカール、フロントスポイラー等

 アオシマのキットは2つとも現行品として入手出来ますが、フジミのキットは絶版品なので、入手するのに少々時間は掛かったものの、無事適価で入手出来ました。
 ホイールはトムスの井桁ですが、当時の資料を見る限りでは、余っているハセガワセリカレース仕様のものをそのまま使えそうです。
 そのほか、レース仕様車に必要シートベルト、ボンネットキャッチピン、フィラーキャップ、牽引フックなどは手持ちのストック箱から調達します。

4.参考資料

日本の名レース100選 '85 インターTEC  今回の参考資料は「日本の名レース100選 '85 インターTEC」です。1985年のインターTECは、この年に始まった全日本ツーリングカー選手権の最終戦であるとともに、「国際ツーリングカー耐久レース」として開催され、本場ETCのチャンピオンチームであるエッデンバーガーチームが2台のボルボ240ターボで参戦しました。ボルボ240ターボは、大柄でいかにも空気抵抗の大きそうな2ドアセダンですが、実際には1035kgという軽量な車体に、340psのOHC直列4気筒2141ccターボエンジンを搭載し、並み居る国内チームを全く寄せ付けない圧倒的な力を見せつけて、当然のように総合1位、2位となっています。
 私は当時このレースをテレビで観戦しましたが、いかにも速そうに見える三菱スタリオンやBMW635CSi、スカイラインRSターボなどがスタート直後からみるみる引き離されていくのを見て、さすがに「Flying Brick」(空飛ぶレンガ)と言われるだけあると、その速さに見入ってしまったのを記憶しています。
 なお出走車は3部門に分かれており、今回製作するミノルタα-7000カローラは部門1に属し、決勝では総合13位、部門1クラス6位でした。部門1のクラス優勝は土屋エンジニアリングのアドバンカローラです。


5.製作過程

5-1.ボディ加工

 ボディ加工と言っても、ベースとなるアオシマのキットはとても再現性が良いので、レース仕様にするための以下の加工のみでした。

  • サイドプロテクションモールの除去
    ボディと面一になるように慎重に削り取り、ペーパーで仕上げました。
  • ドアノブ部およびリヤハッチのキーホールの除去
  • リヤワイパー取り付け穴の穴埋め
    プラ丸棒を埋め込んでからペーパーで仕上げています。
  • リヤスポイラーの取り付け
    後期型のリヤスポイラーを使用しましたが、実車の写真と見比べるとやや厚みが不足しているように感じたので、下面にプラ板を貼って厚みを増やしました。
  • リヤハッチのクィックフィラーキャップ取り付け部分の開口
    リヤスポイラーをボディに接着後、実車の写真を見ながらスポイラーともども約6mm径の穴を開けています。

5-2.前後バンパー・フロントグリル

 前期型の前後バンパーと後期型のフロントグリルを組み合わせて、以下の加工を施しました。

  • リップスポイラーの取り付け
    フジミのリップスポイラーを使用しますが、幅と厚みが不足しているので、中央から切断したのち、プラ板を挟み込んで幅を増やすとともに下面にプラ板を貼って厚みを増やしました。
  • 前後バンパーに牽引フックを追加
    小さいパーツですが、よいアクセントになるので追加することにし、フロント側はストック箱から見つけたもの、リヤ側はゼムクリップを切断してU字型に加工したものを取り付けてみました。

牽引フックの取り付け

5-3.ホイール・タイヤ、内装等の製作

 ホイールは定番のいわゆる井桁タイプです。今回はハセガワセリカレース仕様のものをタイヤも含めてそのまま使用することにしました。アオシマの下回りはスプリングを組み込めるようになっていますが、スプリングはオミットし、プラワッシャーを現物合わせで取り付けて車高を調整してあります。
 内装と下回りはアオシマ製N2仕様をほぼそのまま使いましたが、バケットシートはストック箱から見つけたものを採用し、シートベルトも取り付けました。なお、アオシマ製N2仕様の内装はドア内側が全く再現されていないので、フジミレビンの内張から切り取ったウインドウハンドルとドアオープナーを接着し、実車と同様の内張塗装を施しました。


6.仮組

仮組み  一通りの加工が終わったところで、ボディにタミヤのカラースプレーのピュアホワイトをスプレーして、全体的なイメージを確認します。
 車高の落ち具合と前後スポイラーのボリュームアップはまあまあうまくいったようです。バンパーはセミグロスブラックですが、少しブラウンを混ぜた方がよかったかもしれません。
 このままナンバープレートを付ければ、ローダウンした走り屋さん仕様にもなりそうです。


7.完成

 いつものように、ホワイト→クリアーの吹きつけ→P2000ペーパー掛け→コンパウンド仕上げを2回繰り返した後に、フジミレビンのデカールを貼りましたが、アオシマとフジミのボディの各部分の寸法差によるデカール自体の寸法の違いに加え、デカールが見た目以上に劣化が進んでいて、かなり難儀しました。それでもマークソフターなども使ってなんとか貼り終えましたが、そのあとのクリヤー吹きつけ後、ルーフやボンネットなどの広い面を中心にデカールのひび割れと浮き上がりが発生して無残な姿に。結局、更にクリヤーを厚めに吹き付けて充分乾燥させた後、600番〜1000番〜2000番と慎重にペーパー掛けして極力平面に仕上げてから、コンパウンドで表面をならしましたが、ところどころタッチアップが必要でした。
 なんとか妥協出来るところまで仕上げてから、窓枠の塗装、ボンネットキャッチピンやキルスイッチ、ルーフ上の無線機のレシーバー(?)などの取り付けと、ドアハンドルなど細部の塗装をして、とりあえず完成です。

完成

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