峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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はじめに
このページはA70スープラ Group-Aレース仕様車の製作記です。2021年になってハセガワから「ミノルタ スープラターボ A70 1988 インターTEC」が発売されました。私も発売後すぐに購入したのですが、タミヤが1988年に発売したキットも長期保管中だったので、まずはこちらのタミヤのキットを製作することにしました。
1.A70スープラについて
A70型スープラは1986年2月に発売されました。この代からはセリカから独立した車種となるとともに、先代までの国内向け車種名「セリカXX」から、北米仕様と同じ「スープラ」と名乗ることになりました。基本プラットホームはソアラと共通となり、発売当初のエンジンはストレート6の1G系と7M-GTEUです。その後も何回かのマイナーチェンジを繰り返しながら1993年5月まで販売されています。
2.製作車両
グループAツーリングカーによる全日本ツーリングカー選手権は1985年から始まりました。
今回製作するA70スープラは、1987年9月にスポーツランドSUGOで開催された全日本ツーリングカー選手権第4戦「SUGOグループA300kmレース」でデビューウインを飾ったクルマです。もっとも、当初から懸念されていた重たい車重やその後のターボ係数改正による最低重量の引き上げなどによって、このレース以降、勝利を挙げることが出来ませんでした。
「トヨタ・チーム・トムス」から参戦したスープラ3.0ターボは、この年に発売開始されたブリスターフェンダーの3ナンバー仕様ボディーに公称290ps/6400rpmまでチューンされた7M-GTEエンジンを搭載していました。メインスポンサーはさわやかなホワイトとブルーのカラーリングでお馴染みのミノルタです。
エントリーは2台で、デビューウインを果たした36号車のドライバーは、日本で長く活躍したエイエ・エルグと1980年のF1チャンピオンのアラン・ジョーンズです。途中リタイアとなった37号車のドライバーはジェフ・リースと星野薫です。
今回は別売りデカールを利用して、デビューウインを飾った36号車を製作しました。
3.使用キット
前述したように、今回製作したのはタミヤが1988年に発売したキットです。なお、このキットのデカールはデビューレースのものではない上、長期保管による劣化もかなり進んでいたので、STUDIO27から発売されているデカールを使用しています。
また、このキットはスープラの市販車キットにレース仕様のパーツを組み合わせたものですが、省略された装備も多いので、色々と手を加える必要がありました。
4.参考資料
今回の参考資料は「日本の名レース100選 '87 菅生グループA」です。このレースのトピックスは表紙のサブタイトル
「グループA戦線、異常あり − 初登場のスープラとBMW-M3が1-2独占」
が示すように、今回製作したスープラと、やはりこのレースがデビュー戦だったBMW-M3が1位、2位を占めたことでした。
当時、全日本ツーリングカー選手権の出走車は3部門に分かれており、1600cc以下がクラス1、1601cc〜2500ccがクラス2、2501cc以上がクラス3となっています。各クラスの代表的マシンは、クラス1がAE86レビン、AE82カローラFX、E-ATシビックなど、クラス2がST162セリカ、JT150ジェミニイルムシャー、BA1プレリュードなど、そしてクラス3がA183Aスタリオン、DR30スカイライン、ROVER3500、FORDシエラ、BMW635CSi、VOLVO240Tなどでした。
初登場のスープラはクラス3、BMW-M3はクラス2です。
なお、BMW-M3はその後もグループAによる全日本ツーリングカー選手権のこのクラスで圧倒的な力を発揮して、ワンメイク状態となっていきました。また、グループAスカイラインと言えば、R32スカイラインGTRが思い浮かびますが、そのデビューはこのレースの3年後の1990年となります。
5.製作過程
5-1.ボディ加工
前項の資料を参考にして以下の加工を行っています。
- フロントバンパー、リップスポイラーの厚み増加
それぞれにプラ板を貼り付けて、実車換算で約30mmほど厚みを増やしました。
なお、実車の写真を見る限り、36号車と37号車はリップスポイラーの形状に微妙な違いがあるように見え、36号車は中央部がごくわずかに湾曲しているように見えるため、それも再現してみました。 - リヤワイパー取り付け穴の穴埋め
プラ丸棒を埋め込んでからペーパーで仕上げています。 - サイドモールの平面化
市販車としてのサイドモールに薄いプラ板を接着して平面化しています。 - 給油口の加工
キットは給油口パーツをリヤフェンダー上部に接着するようになっています。
そこで、リヤフェンダー上部に約6mm径の穴を開け、給油口パーツを埋め込むような形状としました。 - その他の加工
ウインドウウォッシャー吹き出し口はカットして取り付け穴のみとし、キットに含まれていない右フロントフェンダー上のエンジンキルスイッチ、フロントブレーキ冷却ホース、前後の牽引フック、リヤガーニッシュ部のエアージャッキ取り付けノズル等は、プラ板やプラ丸棒から自作したものを取り付けていますが、いずれも小さいものなので、老眼にはなかなか難儀な工作でした。
5-2.内装
キットの内装もレース仕様にはなっていますが、やや簡略化されていますし、実車はデビュー戦とあって、センターパネルには各種調整ツマミなども数多く取り付けられているので、市販のエッチングパーツやプラ丸棒等を利用して、それらしく再現しました。
ロールバーの保護パッドは電気配線をまとめる熱収縮チューブを利用しています。
シートベルトは余っていた他車のデカールから台紙ごと切り出したもので、後部ロールバーに固定している部分はダイソーの赤色マスキングテープを利用しています。
6.仮組
一通りの加工が終わったところで、一度サーフェイサーを吹いて仮組みし、ボディの仕上がり状況や全体的なイメージを確認してみました。まあ、私の感覚では、このくらい仕上がれば充分です。
下回りはほぼストレート組みで、サイド出しの排気管を取り付けたのみです。
ホイール内側に固定するディスクローターは単なる円形の部品だったので、ストック部品箱から見つけたレジン製ドリルホール付きのディスクローターに置き換えてあります。
7.完成
タミヤのピュアーホワイトを何回かに分けて吹き付けた後、#1000〜#2000のペーパー掛けで表面をならした上でコンパウンド磨きを数回繰り返し、STUDIO27製のデカールを貼りました。
デカールを貼り終えた数日後から、クリヤー吹きつけとペーパー掛け、コンパウンド磨きを繰り返してから、窓枠の塗装を行って、最後にあらかじめ自作しておいた各種外装パーツやボンネットのキャッチピンを装着して、とりあえず完成としました。ルーフ上にはトランスポンダと配線も取り付けてあります。
細かく見れば、いくらでも粗はありますが、それでもパッと見はそこそこ綺麗に仕上がったので、これで良しとしています。