峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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はじめに
このページはフェアレディZの初代モデルであるS30型の1971年サファリラリー優勝車の製作記です。歴代セリカのサファリラリー優勝車を作成した流れで、このクルマも製作することにしました。
1.フェアレディZ S30型について
フェアレディZの初代モデルであるS30型は1969(昭和44)年10月に発表され、日本だけでなく特に北米市場を中心に世界規模の大ヒット車となりました。
S30型は日産の世界的なイメージリーダーとして9年間の長きにわたり生産され、グローバル販売52万台以上という、単一型式のスポーツカーとしては空前の大記録を樹立しました。当初日本国内では、L20型エンジンを搭載した廉価版のZ、装備を充実させたZ-L、S20型エンジンを搭載した432の3グレードが発売されましたが、アメリカとイギリスでは、2.4LのL24型エンジンを搭載したモデルが「ダットサン240Z」というネーミングで発売されました。その後1978年の生産終了まで、国内外で様々な派生モデルが発売されましたが、本稿では割愛します。興味のある方はウィキペディアや日産ヘリテージコレクションなどのサイトを参照して下さい。
2.製作車両
フェアレディZは過酷なモータースポーツとして知られる世界ラリーへも挑戦しました。今回製作するのは、前年の1970年に510ブルーバードが総合優勝した第18回に続いて、初出場ながら1971年の第19回東アフリカ・サファリラリーで1-2フィニッシュしたダットサン240Zです。日産にとっては、同ラリーを2連覇したことになります。エンジンは直列6気筒OHC・2393ccのL24型を210psまでチューンナップしていました。
ゼッケン11番の優勝車のドライバーは、エドガー・G・ハーマン/ハンス・シュラーです。
3.使用キット
ベースとなる使用キットは、ハセガワの"DATSUN FAIRLADY 240Z 1971 SAFARI RALLY WINNER"で、1971年のサファリラリー優勝車です。このキットはエンジンレスですが、以前からストックしてあったフジミのNRチューニングパーツというキットの中に含まれているL24型エンジンを流用して、エンジンルームを再現することにします。
4.参考資料
今回の参考資料はモータースポーツマガジン「レーシングオン」のNo.504です。No.504の特集は「生誕50周年記念特集 NISSAN Z In Race & Rally」で、S30型からZ32型までのラリーやレースに参戦したマシンについての特集となっています。
5.製作過程
5-1.エンジンルームの再現
エンジンルームを再現するに当たっては、当初はシャーシ裏側にモールドされているオイルパンとその周辺を全て切除して、フジミのL24型エンジンを搭載することを想定していました。ただし、その場合は改造範囲が大きい上、エンジン自体もかなりの付加工作が必要なため、モールドされているオイルパンはそのまま使い、エンジンの下側をオイルパンに合わせて切除した上で搭載することにしました。それでも結構手を加える必要があり、以下の加工を施しました。
- ボンネットの切り離し
エンジンを搭載したら、完成後にはエンジンルームを見られるようにしたいですからね。 - エンジンルーム内の隔壁追加
側面及びコックピット側バルクヘッドを追加。 - ストラットサスペンションアッパーマウントの追加
ボンネットを切り離して気付いたのですが、キットのストラットサスの上部はフロントフェンダーに隠れた位置で固定するようになっていたため、内側にポリパテを盛って整形して、アッパ−マウントを再現させました。
5-2.エンジンの再現
前述したように、フジミのL24型エンジンを素材として、以下の加工を施しました。
- エンジン下部の切断
シャーシ裏側にモールドされているオイルパンの寸法に合わせてエンジン下部を切断します。ファンベルトやラジエータファン、エクゾーストパイプ、ミッションケースもエンジンルームに合わせて切断しました。 - キャブレターの製作
実車のキャブレターは三国ソレックス44PHの三連装で、土埃の凄いサファリラリーに対応したエアクリーナーも装備されています。キャブレターはジャンクボックスから見つけ出したウェーバーキャブで代用し、エアクリーナーはプラ角棒とエッチングメッシュで自作しました。
5-3.ディテールアップ
エンジンルームと荷室を中心として、最低限のディテールを追加しました。
- エンジンルームの配線と補器類の追加
エンジンだけ載せてもエンジンルームが淋しいので、プラグコードやオイルリザーバーパイプ、キャブレターの燃料パイプを追加するとともに、ジャンクボックスから拾ってきたブレーキマスターシリンダー、バッテリーや、自作したウインドウウォッシャータンク、オイルキャッチタンク等を配置しました。なお、各種パイプ類の配線はそれらしく見えれば良いので、実車とは異なります(笑) - ストラットアッパーマウントの追加
パテ盛りして整形したストラットタワー部分に、プラ丸棒から作成したアッパーマウントを接着し、3本のボルトナットを配置しました。ごく小さなパーツですが、意外に実感的なアクセントになりました。 - 荷室のディテールアップ
荷室には2本のスペアタイヤが積まれていますが、キットは単なる二段重ねです。そこで、荷室の床に固定用ロープを通すアンカーボルトに見立てたエッチングパーツを4つ埋め込み、かつてのタミヤの1/12スケールの240Zの作例画像を参考にして、固定用ロープに見立てた細い赤リード線でタイヤを固定しました。タイヤの上には、フジミのガレージツールキットに入っていた十字レンチとT字レンチも挟み込んであります。
6.完成
今回、ボディはほとんど手を加えていません。フロントフェンダー部のウインカー取り付け位置の修正、ドアのキー穴とトランクリッドのキー穴に虫ピンを埋め込んだ程度です。グレーサフ→タミヤスプレーのピュアレッド、マットブラックの吹きつけ→ボディカラー部分のペーパー掛けとコンパウンド磨きの後、窓枠を塗装し、キットのデカールを貼りました。さすがにカルトグラフ製デカールで、気持ち良く貼り終えました。
相変わらずの妥協の産物ではありますが、とりあえず完成です。