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TOEI スポルティーフ(11速仕様)- 1999/04 完成、2011/02 11速仕様に改装

はじめに

 2011年2月にカンパニョーロアテナ11速仕様のスポルティーフを組み上げました。と言っても全くの新車ではなく、1999年に帰り新参として初めてオーダーした自転車をリニューアルしたものです。

 カラーリングは別として、ごく一般的な直付け工作を施したラグ付きホリゾンタルフレームに、スレッドタイプのステム、フルガード、フロントキャリアなどを装備したことで、全体的にはオーソドックスなスポルティーフのスタイルとなっています。

 まあ、知り合いのサイクリスト仲間からは、『リヤが11速になって塗装が違うだけで、また同じような自転車だね』と言われてしまう自転車なのは否定し切れません(苦笑)

1.リニューアルの経緯:構想から発注まで

 2010年にカンパニョーロから11速のミドルグループとしてアテナグループセットが発売されたことで、新たに11速車を仕立てたいなという気になりました。もちろん新たにフレームをフルオーダーすることも考えましたが、世間の旅自転車ブームによる工房の納期延長、自宅保管スペース、製作予算の関係もあって、二の足を踏んでいました。

 その一方で、帰り新参として初めてオーダーした自転車が、1999年の完成以来早くも12年目になろうとしており、そろそろ再塗装でもしようかなと思っていました。この自転車には愛着もあり、今後も大切にしていきたいので、再塗装とともに一部工作も変更して、アテナを組み込んだ最新の11速仕様に仕立て直す事を考え始めました。

 フレームを川口の東叡社に持ち込んだのは2010年の10月です。一応フルオーダーも想定してビルダーに色々相談はしたものの、やはり納期は約1年後との事。私は旬のパーツを旬な時期に使いたい方なので、やはり今回はフルオーダーではなく、持ち込んだフレームを改装する事にして、工房に預けてきました。この時は「まあ年内には大丈夫でしょう」との事でした。

 年内に仕上がれば2月初めの毎年恒例の御前崎オフに充分間に合うなあと楽しみにしていたのですが、やはり(予想通り)年内には無理だったようでした。2011年の御前崎オフは2月の5〜6日です。その日が刻々と近づいて来る中、組み立て時間を念頭に置くと、引き取りのリミットはギリギリでも2月3日です。しかし、その当日になっても連絡はなく、御前崎デビューはあきらめるしかなさそうでした。

 そして、その日の夕方、会社の終業ベルが鳴り、御前崎オフの準備もまだなので、早めに上がろうと片付けていたその時に携帯が鳴りました。「今、フレームが塗装屋から届きました !」・・・東叡社のY社長からの連絡でした。

2.リニューアルの経緯:フレーム完成から組み立てまで

 このようにして、2011年2月3日の夕方にフレームは無事完成しました。しかし、御前崎オフは翌々日の5日からです。連絡して下さった東叡社のY社長には「さすがに引き取りにはいけないので、来週伺います」と返事をして電話を切りました。

 翌日は通常の勤務ですので、いつものように出社しました。午前中の仕事を済ませて昼食を食べていた時、ふと「そうだ、今日の午後フレームを引き取れば、夕方自宅に戻ってなんとか組み上げられるじゃないか」という考えが浮かびました。こうなるともうだめですね。幸いこの日の仕事はさほど緊急なものも無かったので、午後半休を取ってスーツ姿で川口の東叡社に向かったのです。

 東叡社には14時過ぎに着きました。工作と塗装を確認して代金を支払い、保護紙が巻かれたフレームを肩に、2本のフロントフォークとキャリアをいつもバッグに入れてある携帯リュックに入れて、14時半過ぎには東叡社を後にして帰宅の途につきます。

 そして16時過ぎに無事帰宅、夕食を挟んでひたすら組み上げます。バーテープ巻きを残して一通り組み上がった時には12時をまわろうとしていました。そこでフロに入って身を清め(笑)てから、丁寧にバーテープを巻き上げます。最後に、自作した十速会ストライプをシートチューブに貼り、深夜1時半、無事完成。当初の構想通り、翌日からの御前崎オフが11速車のデビューランとなったのでした。

3.フレーム仕様

 今回のリニューアルでは、フロントフォークとキャリアを新製し、チェーンプロテクターの除去、ボトル台座追加、11速対応などを行いました。イタリア国旗3色塗り分け塗装にしたこともあり、12年前の完成時とはかなり雰囲気が変わりました。

  • ヘッドラグ・フォーククラウン回り

    ヘッドラグ・フォーククラウン回り ラグはショートタイプのロストイタリアンカット、新しく作ったフロントフォークは1970年代中期のデローザに似たタイプのロストフォーククラウンにレーサー風の曲げを組み合わせたものとしました。

     ヘッド小物はタンゲのスレッドタイプですが、リテーナーではなくカートリッジベアリングを使っている製品です。



















  • シートラグ回り

    シートステー シートステー上部はスタンダードな形状の2本巻クロウステーです。













  • リヤエンド回り

    リヤエンド回り エンドはトーエイオリジナルのロストストレートエンドです。今回11速にしたため、シートステー内側のつぶしを増やしてあり、シートステーとトップギヤの隙間は充分確保出来ています。

















  • その他の工作

     いわゆる特殊工作は特にありません。例えば、トーエイの場合スタンダードフレームでもリヤブレーキワイヤーは内蔵ですが、このフレームは内蔵工作はしていません。
     強いて書けば、リヤブレーキアウターダボと変速ワイヤーダボに割りを入れて、メンテナンスのしやすさと輪行時のワイヤー回りのトラブル防止を図っている程度です。
     なおオーダ当初にロー付けされていたチェーンプロテクターは除去しました。

  • カラーリング

    十速会 画像で一目瞭然ですが、イタリア国旗の赤・白・緑の3色塗り分け塗装です。最近は市販のロードバイクにも GIOS VINTAGE VELOCE や BASSO GAP1977 など、塗り分けパターンが似ているものがあって、モノマネしたのかと言われかねませんが、私としては、2001年に完成した林道用スポルティーフですでに3色塗り分けにトライしており、今回の塗装もその延長上で考えた次第です。
     ヘッドラグとフォークラウンはメッキ仕上げです。
     トーエイのヘッド/ロゴマーク、サドル、レバーパッド、バーテープ、アウターケーブルなどのカラーも、私なりの感覚でフレームカラーとの組み合わせで決めました。
     まあ、トーエイの旅行車は一般に端正な工作と落ち着いたフレームカラーのものが多く、やや異端児ではありますが。
     シートチューブのイタリア国旗色の十速会デカールは、PCの画像ソフトとインクジェットプリンタ用シール用紙で自作したものです。なお、"十速会"は仲間内の集まりの呼称であり、公式団体でも東叡社の認定組織でもありません。

4.パーツ構成

 基本的にはリヤ11速のカンパニョーロアテナ2010年〜2011年モデルを中心にまとめています。それ以外のパーツも一部の部品以外は現行品からチョイスしています。

  1. ホイール系

    Wheel  最近のスポーツバイクは完組ホイールが主流となっていますが、旅行車の場合は万一のホイールトラブルを避けるために、まだまだ手組みホイールが主流です。
     ですが、今回はあえて完組ホイールを採用することにして、多少重くても比較的頑丈な製品から選択することにして、マヴィックのアクシウムにしてみました。このホイールは価格も手頃で、珍しくシルバー仕上げのものもラインナップされていたので、迷わずシルバーを選択しました。
     ショップの話でもスポーク切れなどはまず発生しないという事でしたし、ニップルも旧来のものと同じであり、振れ取りなども普通に出来るところが気に入りました。もちろん現在に至るまで特に問題は出ていません。
     タイヤはグランボアのセールブリュ(26C)です。
     マッドガードは昔から気に入っている本所のNH-58を私の自転車のお約束である松葉ステーで装着しています。NH-58は最近は入手するのにちょっと苦労しますが、なんとか新品も確保出来ました。
     マッドフラップも私の自転車のお約束で、ホームセンターで購入した2ミリ厚のゴム板から切り出したものを装着しています。

  2. 駆動系

    Chain Wheel クランクセットはカンパニョーロアテナの2010年モデルのコンパクトドライブです。2011年モデルからアテナ以下のグレードはBB軸がシマノのように左右クランクをつなぐ1本となったパワートルク仕様になりましたが、私はBB軸が2分割されているウルトラトルク仕様が好みなので、あえて2010年モデルとしました。
     スプロケットはコーラス11sp、チェーンはレコード11spで、ギヤレシオはフロント50×34T、リヤ12〜29Tです。
     伝統的スポルティーフの観点からみると、かなりワイドなギヤレシオですが、スプロケットが11枚もあると隣り合う歯の歯数差は1〜3Tであり、5段フリー時代のクロスレシオ、ミドルレシオ、ワイドレシオを兼ね備えた感覚で使う事が出来ます。行程の大部分が舗装されている現在の峠越えツーリングを楽しむ事を考えると、峠前後の平坦路と急勾配の登り下りを無理なくこなすためには、このようなワイドレシオが使いやすく実用的だと実感しています。
     ペダルは比較的軽量な片面SPDのシマノPD-A520です。




  3. 変速系

    Derailleur 変速系統はアテナ2010年モデルの前後ディレイラーとアテナ2011年モデルのエルゴパワーの組み合わせです。
     アテナエルゴパワーのアルミレバー仕様は2011年からです。
     ディレイラーを2010年モデルにしたのは、購入時に単に海外の通販サイトで檄安特価だったからという理由です。
     28.6シートチューブ用のバンドタイプフロントディレイラーは発売されていませんから、直付タイプの本体とサードパーティのバンド止め台座を組み合わせてあります。











  4. ブレーキ系

    Brake ブレーキ本体はラージサイズのシマノBR-R600で、引きが軽く効きもよいので、当面はこのまま使用する予定です。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

  5. ハンドル系

    Steering 最近のハンドルバーはアナトミックタイプが主流ですが、この自転車にはトラディショナルなラウンド形状のものを装着したいと思い、我が家のストックの中から、ITM Super Training(エルゴ対応前後溝付き)を、ステムはコロンバスのCrMo管をTIG溶接した3tttのプロクロームを選びました。バーテープはポピュラーなシルバのコルクタイプで、イタリアン3色カラーのものです。











  6. サドル系

    Saddle サドルはセラサンマルコリーガルeです。
     このサドルはチポッリーニ、マキュアン、ボーネンなどのかってのスプリンター達が愛用し、今でも根強いファンが存在するリーガルがアップデートされた製品で、現行品の中では座面の幅が広いほうです。
     購入当時、カラーデザインは何種類かありましたが、その中からイタリア国旗色のストライプのあるレーシングデザインカラーを選びました。
     パッドはそれほど厚くありませんが、座ったときのフィット感に優れていて、私には合っているようです。











  7. フロントキャリアと電装系

    Lighting 今回新たに製作した7mmパイプフロントキャリアはブレーキ貫通ボルトに挟み込む板状ステーとフロントフォークのダボの3点固定としました。この固定方式は昔のマスプロ車に近いイメージですが、装着するブレーキ本体の選択の自由度が高いため、あえてそうしています。
     デザイン的にはごくノーマルですが、路肩側を照らすためにライトホルダーは左側にしています。
     ヘッドライトは非常に明るい3ワットLEDタイプ、リヤガードに取り付けているテールライトはキャットアイのTL-AU165という製品で、光センサーと振動センサーにより自動点灯し、自動点灯のオンオフも出来る製品です。





  8. その他

    Etc. ポンプはトピーク、ボトルケージはプラネットバイクとミノウラのペットボトル用のもので、どちらも使い勝手のよい製品です。
     コンピュータはシンプルな操作性とデザインが気に入っているキャットアイのCC-CL200のレッドですが、私の保有自転車中、ミニベロ以外の6台はCC-CL200です。










5.スペック


フレーム 基本仕様 タンゲNo2フルセット、ショートポイントロストイタリアンカットラグ、デローザタイプロストクラウン(USA製)、トーエイロストストレートエンド、丹下TG32J27スレッドヘッド小物(ITA)
寸法 シートチューブ:580mm(BB中心〜シートクランプ上端)、トップチューブ:550mm、リヤセンター:425mm、フォークオフセット:45mm、エンド内幅:F100-R130mm
工作 2本巻クロウステー、リヤブレーキアウターダボ3点(割り入り)、カンパタイプシフトレバー台座、BB下ワイヤーリード、割り入り変速アウターダボ、前後ガード隠し止めネジ、フロントキャリア台座(フォーク前側)、ボトルケージ台座×2、リヤブリッジ補強、7ミリパイプ製フロントキャリアなど
塗装 イタリア国旗3色塗り分け、ヘッドラグ・フォーククラウンメッキ仕上げ

ホイール 本体 マビック アクシウム(F/R共に20H、スプロケット側のみクロス組み)
(完組) タイヤ グランボア セールブリュ(700×26C)
マッドガード 本所 NH-58(松葉ステー)

駆動系 チェーンホイール カンパニョーロ アテナ 2010年モデル(ウルトラトルク、172.5mm)
チェーンリング カンパニョーロ アテナ(50×34T)
ボトムブラケット カンパニョーロ レコード(ウルトラトルク用、BSC)
スプロケット カンパニョーロ コーラス11s(12-29T)
チェーン カンパニョーロ レコード11s(ミッシリングリンク接続)
ペダル シマノ PD-A520

変速機系 フロント変速機 カンパニョーロ アテナ 2010年モデル
リヤ変速機 カンパニョーロ アテナ 2010年モデル
シフト機構 カンパニョーロ アテナ エルゴパワー

ブレーキ系 ブレーキ本体 シマノ BR-R600(ラージサイズ)
ブレーキレバー カンパニョーロ アテナ エルゴパワー 2011年モデル(純正赤パッド)

ハンドル系 ハンドルバー ITM SUPER TRAINING(c-c 400mm)
ステム 3T プロクローム(100mm)
バーテープ構 SILVA コルク(イタリア国旗色)

サドル系 サドル サンマルコ リーガルe(レーシングチームカラー)
シートピラー セルコフ67X(27.2mm)

その他 ポンプ トピーク スピードマスターブラスター
ボトルケージ プラネットバイク ボタンケージ(シルバー)、ミノウラ
ベル VIVA
コンピュータ キャットアイ CC-CL200(レッド)

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