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TOEI スポルティーフ(軽量タイプ)- 2007/09/08 完成、2011/09 SRAM仕様に改装

はじめに

 2011年9月にSRAMの駆動系パーツを組み込んだ10速仕様のスポルティーフを組み上げました。もちろん新車ではなく、2007年に組んだ軽量スポルティーフをリニューアルしたものです。

 最近は友人のサイクリスト仲間の中にもリヤ10速仕様のツーリング車を作られる方が増えて来ましたが、カンパニョーロやシマノのパーツを採用するパターンがほとんどです。私の自転車もまさにそんな感じで、シュパーブ・サカエ仕様の80年代風ロード以外は、現行カンパ中心にアッセンブルした自転車が4台、シマノ中心が1台となっています。
 現在の世界3大コンポーネントと言えば、シマノ、カンパ、そしてSRAMですが、なぜかSRAMを採用したツーリング車は見かけません。私は以前からSRAMの変速機やダブルタップ機構のシフターに興味がありましたし、SRAMの歴史を遡れば、ドイツのザックスの自転車部門を買収し、更にそのザックスの歴史を遡れば、フランスのユーレを買収しています。すなわち、ユーレは現在のSRAMの変速機の遠いご先祖様ということになります。

 ということで、カンパ仕様だった軽量スポルティーフを、SRAMの変速機とダブルタップシフター、チェーンホイール、スプロケットなどを装備した自転車に仕立て直した次第です。ただし、SRAMは日本国内での価格がやたら高いので、いつものようにイギリスのオンラインショップで調達しましたが、ものによっては価格が国内の半分から3分の1でした。

 知り合いのサイクリスト仲間から『いつも同じような自転車ばかり作ってどうするの』と言われてしまうことについては、もう慣れました(苦笑)

1.オーダー当時の背景

 1999年にサイクリングと自転車趣味の世界に戻ってきて以来、700Cホイールを装備した自転車を5台作ってきました。私のサイクリングの主たるフィールドを前提とすれば、現在保有している自転車で充分事は足りるのですが、私の自転車趣味にはツーリングに出掛ける事に加えて自転車そのものを楽しむ部分が欠かせません。現在保有している自転車についても、単なるメンテナンスの範囲にとどまらず、しょっちゅう部品を交換したり手を加えたりして楽しんでいます。

 そんな中で考えていたのが、「現在のロードレーサーのトレンドを取り込み、そのメリットを生かした快適なツーリング車を作れないか」という事でした。

René Herse LONGCHAMP 古くからのサイクリスト諸氏であれば、このイラストにある René Herse "LONGCHAMP" というカタログモデルをご存知の方も多いかと思います。(イラストは1977年ベロ出版社発行「イラストによるスポーツ車と部品の変遷」より転載)
 基本的にはロードレーサーにマッドガードを装備したイメージですが、各種特殊工作を施した趣味的かつ高性能な自転車です。

 私の目論見は、最近の軽量スチール素材でフレームをオーダーし、それにフルガードをスッキリと装着出来るようなガードダボ付きカーボンフォークを組み合わせて、現代版"LONGCHAMP"としてまとめるということでした。そこで、まずはガードダボ付きカーボンフォークを探し始めましたが、カタログのムック本や各社のWEBサイトなどを調べてみても、サイドプルブレーキ仕様でガードダボの着いているフォークはごくわずかで、発売元や輸入元に問い合わせてみても実際には取り扱い未定だったりしました。それでも私の希望に近い製品が見つかって入手する事が出来たことで、復活以来お世話になっていた東京板橋区の自転車屋中嶋さんと相談して、最終的なスペックを決定していきました。

2.フレーム

  • 基本工作

    基本工作P フレームは東叡社にオーダーしたもので、カイセイのニッケルクロムモリブテン鋼"8630"を採用し、28.6のトップチューブと31.8のダウンチューブのオーバーサイズ仕様です。
     東叡社はオーバーサイズ用のイタリアンカットラグも用意出来るということでしたが、私はあえてラグは使わず、TIG溶接で製作していただきました。東叡社のTIG溶接は溶接部分のヤスリ掛けやロウ盛りなどは一切していませんが、一見ラグレスロウ付けに見えるほど綺麗に仕上がっています。
     あまり凝った工作は施していませんが、現代風に、集合ステー、シートクランプ、アヘッドコラムという仕様とし、私のオーダーとしては初めてリヤブレーキアウター内蔵としました。内蔵口はイタリアのスチール製ロードフレームによく見られた、真下から入り真上に抜ける位置にしています。

     

     

  • ヘッド回り・フロントフォーク

    ヘッド回り・フロントフォーク ヘッドチューブ部分TIG溶接特有のビートがほとんど見られない仕上がりです。
     このカーボンフォークは完成当初のもので、クラウン裏側に穴が開いていたので、マッドガードはブレーキ貫通シャフトに通した吊り金具で隠し止めしています。
     現在は東京サンエス"Onebyesu"のカーボンフォークに換装しています。

     

     

     

     

  • リヤエンド回り

    リヤエンド回り リヤエンドは見る人が見ればわかりますが、ネットオークションでたまたま見つけて落札したBSオリジナル鍛造ストレートエンドです。
     このエンドは昔BSのアトランティスやユーラシアグランなどに採用されていたもので、なぜメーカーオリジナルの素材がネットで流通していたのかは不明ですが、機能的でデザインも良く、その昔はなんとか手に入らないかと思っていたものなので、今回はとてもラッキーでした。チェーンステー・シートステーとの接合部も綺麗に仕上がっています。

     

     

     

     

3.パーツ構成

 基本的にはSRAMの駆動系に軽量完組ホイールを組み合わせて、それ以外のパーツも最近のロードバイク用パーツがほとんどです。

  1. ホイール系

    Wheel  ホイールはアメリカンクラシックのMICRO58(前)/RD-205(後)軽量ハブに、アレックスのR400リム、DTのバテッドスポークで組み上げられている完組ホイールで、ホイール単体重量は前後合わせて1400g強と、かなり軽いホイールです。
     タイヤはヴェロフレックスのマスター(22C、180g)です。ヴェロフレックスはとてもしなやかで個人的にはとても気に入っているタイヤですが、寿命はやや短めです。
     マッドガードは36mm幅の本所半丸タイプを東叡社オリジナルの美しくメッキ仕上げされた松葉ステーで固定しています。

     

     

     

  2. 駆動系

    Wheel  チェーンホイールはSRAM RIVALの2011年モデルで、中空アルミクランク、50-34Tのコンパクトドライブです。BBシャフトは最近の他社製品と同様、右クランクと一体となっていて、BBシェル外側にベアリングがセットされているGXPとの組み合わせになります。
     スプロケットは少々重たいのが難点ですが、1枚1枚の歯が分解出来てメンテしやすいシマノCS-4600の12-28T、チェーンもシマノのCS-6600です。
     ペダルは片面SPDタイプのシマノPD-A600です。

     

     

     

     

     

     

  3. 変速系

    Wheel  変速機はSRAM FORCEの2011年モデルに、RIVALのダブルタップシフターの組み合わせです。リヤ変速機はシングルテンションで、テンションスプリング軸の延長上にテンションプーリーが固定されているあたりに、遠いご先祖様であるユーレの血筋を感じます。シングルテンションという構造上、特にフロントダブルギヤの歯数差はあまり取れないと思います。デザインはカンパニョーロやシマノとは違った個性があって好みが分かれると思いますが、私個人の感覚では力強さを感じさせるデザインが結構気に入っています。MTBパーツを中心にしてきたSRAMならではというところでしょうか。

     ダブルタップシフターはブレーキレバー内側の1本のシフトレバーを大きく動かすとシフトダウン、小さく動かすとシフトアップするという仕組みです。操作に慣れが必要かなと思いましたが、使ってみたらすぐ慣れましたし、予想以上に扱い易いと思いました。もっとも、長年エルゴパワーを常用してきたせいか、シフトアップの際、親指がブラケット内側の解除レバーを探しにいくこともまれにありますが。

     変速機の性能は巷では色々言われていますが、若い頃に使っていた当時の変速機とは比べものになりませんし、少なくとも私自身の使用状況では、カンパやシマノに比較して明確な差は感じません。ワイヤーセッティングも結構簡単でした。

     

     

     

     

     

  4. ブレーキ系

    Brake  ブレーキ本体は2010年に換装したマビックSSCブレーキです。断面形状が比較的丸いためガードとも接触せず、引きが軽く効きもよいので、当面はこのまま使用する予定です。ブレーキレバーにもブレーキ本体にもQRはありませんが、タイヤが22Cと細いので、ホイールの脱着に特に支障はありません。

     

     

     

     

     

     

  5. ハンドル系

    Brake ハンドルバーは最近流行の浅曲がりシャロータイプのデダRHM-02、ステムもデダのZERO-1です。デダのラインナップの中では比較的低価格のものですが、そこそこ軽量です。バーテープはいつものSILVAのコルクタイプです。10mm厚のコラムスペーサーの左側には5Mのタップを立てて、クイックハブ軸に固定するランプホルダーを取り付けてあります。ランプホルダーにはスマートフォンホルダーを取り付けます。
     ベルはBBBのものです。

     

     

     

     

  6. サドル系

    Handle  サドルはセラサンマルコリーガルeのAG2Rモデルです。リーガルeは2016年のモデルチェンジでリーガルのデザイン上の特長である鋲が廃止されたため、旧モデルを購入しました。
     シートピラーはVIVAのリッチータイプと呼ばれる普及品で少々重たいのですが、必要な長さに切断したところ200グラムを切ることが出来たので、まあ良しとしましょう。サドルの固定自体はしっかりしています。

     

     

     

     

     

  7. 電装系

    Saddle  この自転車は基本的に昼間のツーリングを想定していますが、ヘッドライトはやはり必要です。最近は小型でも明るいLEDライトの種類が豊富なので、現在はキャットアイの小型LEDライトをフロントキャリアのランプステーに固定したブラケットに装着しています。
     テールライトはキャットアイのTL-AU165という製品で、光センサーと振動センサーにより自動点灯するようになっています。自動点灯式は輪行袋やクルマの車内に格納したときに点灯してしまうことがありますが、この製品はリフレクター部分を180度回転させることでオフとなり、電池を無駄に消耗しないようになっています。

     

     

     

  8. その他

     私が自転車を作る時の楽しみの一つが、フレームと部品の配色です。機能や性能には関係ありませんし、全くの自己満足でしかありませんが、全体的なまとまり感に大きく影響すると思っています。
     今回はSRAMの変速機やチェーンホイール、ホイールがブラック/グレー基調のため、ハンドル回りやサドル回り、ケーブルとバーテープにホワイトとブラックを配色してみました。ブレーキレバーパッドを赤にしたのは、サドル側面の製品ロゴなどの赤と合わせて、アクセントとしたかったためです。
     なお、コンピュータはシンプルな操作性とデザインが気に入っているキャットアイのCC-CL200のパールホワイトですが、私の保有自転車中、ミニベロ以外の6台はCC-CL200です。

3.スペック


フレーム 基本仕様 カイセイニッケルクロームモリブテンチューブ"8630"フルセット(トップチューブ・ダウンチューブはオーバーサイズ)、TIG溶接、BSオリジナルストレートエンド、カンパニョーロレコードスレッドレスヘッド小物(1インチITA)、サンエスカーボンフォーク(ガード固定用アイレット付き)/フロントキャリア付きスチールフォーク・・・など
寸法 シートチューブ:595mm(BB中心〜シートクランプ上端)、トップチューブ:555mm、リヤセンター:420mm、フォークオフセット:45mm、エンド内幅:F100-R130mm
工作 集合ステイ、シートクランプ、リヤブレーキワイヤー内蔵、シフトレバー台座、BB下側プラリード、ボトルケージ台座×2、前後ガード隠し止め
塗装 ブルー+ホワイト胴抜き(シートチューブ)

ホイール ハブ アメリカンクラシック MICRO58(20H)/RD205(24H)
(完組) スポーク DT コンペティション(2.0/1.8)
リム アレックス R400(F20H/R24H)
タイヤ ヴェロフレックス マスター(700×22C)
チューブ シュワルベ

駆動系 チェーンホイール SRAM RIVAL(50×34T、172.5mm)
ボトムブラケット SRAM GXP
スプロケット シマノ CS-4600(12-28T)
チェーン シマノ CN-6600(KMCミッシリングリンク接続)
ペダル シマノ PD-A600

変速機系 フロント変速機 SRAM FORCE
リヤ変速機 SRAM FORCE
シフト機構 SRAM RIVAL(ダブルタップ)

ブレーキ系 ブレーキ本体 マビック SSC
ブレーキレバー SRAM RIVAL(ダブルタップ)

ハンドル系 ハンドルバー デダ RHM-02(ホワイト 440mm)
ステム デダ ZERO-1(ブラック 100mm)
バーテープ構 SILVA コルク(ホワイト ブルーロゴ)

サドル系 サドル サンマルコ リーガルe(AG2Rカラー)
シートピラー VIVA リッチータイプ(ブラック 27.0mm)

その他 ポンプ トピーク スピードマスターブラスター
ボトルケージ ミノウラ(軽合)
ベル BBB
コンピュータ キャットアイ CC-CL200(パールホワイト)

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