Nakajima 700-20C ロードレーサー - 2005/07 リニューアル
1.リニューアル経緯
このロードレーサーは2000年7月に完成したロードフレームを改造・再塗装して組み上げたものです。オーダー当時はカンパニョーロデイトナをベースとしたエルゴパワー+フロントトリプル、アヘッドステム仕様の現代版ロードとして組み、あとからフォークもカーボンに変更していました。(右は完成当時)
その後2003年にバッタリンなどを組んだ事もあって、保管スペースの関係から、しばらくはフレーム単体での保管となっていました。ところが、ネットオークションやフリーマーケットで昔使っていた部品や当時欲しかった部品を何となしに集めている内に、当時のパーツでロードが組めるほどになってきました。
このような経緯の中で、フレーム自体はCrMoスチールですし、当初の工作も1980年代の雰囲気をそれとなく施してあったため、今回一部の工作を追加/変更した上で、当時の雰囲気を再現した次第です。
メッキ仕上げのラグとクラウン、各部の彫刻と色入れ、Wレバー、トップチューブに3本のアウターバンドで固定したリヤブレーキアウター、アメゴム色のレバーパッド、リヤ変速機スプリングアウター、トークリップ仕様のクイルペダル等、いかにも70年代中盤から80年代前半のロードレーサーの雰囲気を出すことが出来たと思います。
アウターバンドで固定したリヤブレーキワイヤーのセッティングはなかなか難しいですが、反面楽しい作業でもあります。適切な長さを維持しつつ、ブレーキレバーから出てくるワイヤーの立ち上がりと、その後のカーブのライン、前後ワイヤーのバランス、アウターバンドの固定位置などを試行錯誤しながら調整していると、時間の経つのも忘れます。今回はまあまあうまくいったかなと思います。
塗装はパールホワイトに赤の胴抜きの2色塗り分けです。メルクスがファエマチームで乗っていたレーサーにもなんとなく似た配色ですが、私としては今はなき片倉シルクのR2ロード、1964年の東京オリンピック日本チーム使用車をモチーフとしたつもりです。
パーツ仕様は当時の私が憧れていた『サカエロイヤル-ESL』を中心とし、フレームも1970年代中盤から80年代前半の一般的な工作に改装しました。サカエロイヤルシリーズは当時の栄輪業株式会社の最上級ブランドで、チェーンホイール・シートピラー・ステム・ハンドルバーがラインナップされていました。特にロイヤルESLはチタンパーツの採用、軽合部分の穴空けやフライス加工で、当時としては極めて軽く仕上げられていた意欲作です。
それ以外のパーツはサンツアー・吉貝・三ヶ島・極東等を採用し、この自転車についてはあえてシマノを使っていません。(フレームのフォークエンドのみシマノUFですが)
もちろん当時もシマノデュラエースに続いて1977年にサンツアーシュパーブシリーズが発表された事で、パーツのコンポーネント化が進んでいましたが、元々『××××フルセット』というのがあまり好きではないので、あえてこのようなアッセンブルで組んでみました。組み上げてみると、なかなかいい雰囲気に仕上がりました。気になっていた重量も9.6kgと、なんとか10kgを切ることが出来ました。
ツーリング車は現行パーツを主体に組み上げている私ですが、ロードレーサーに限っては、実はこの頃の雰囲気が好みです。メルクス、インプ、ズーテメルク、オカーニャ、テブネ、そしてその次に続くイノーなどの全盛時代ですね。
ニューサイクリング、サイクルスポーツ、"MIROIR DU CYCLISME"(ミロワール)などの雑誌で見た
"DE ROSA"、"Rossin"、"Bianchi"、"CINELLI"、"MASI"、"COLNAGO"
などのイタリアンレーサーや、それらの名車に乗っている当時の一流のプロ選手の写真を見ては、ため息をついていたものです。ただし、その頃の私にとって、カンパニョーロレコードフルセットのレーサーは全く手の届かない高値の花であっただけでなく、素人が乗ってはいけない特別のものだと思っていたのも事実で、イタリアンレーサーの雰囲気をなんとか国産パーツで出せないかなあなどと考えていました。そういう意味で、この自転車は当時の自分の想いを具現化したと言えるかもしれません。
2.パーツ構成
- サカエロイヤルその1:シートピラー回り
シートピラーはROYAL-P1 ESLです。製造番号によると1978年製造です。溝付きでパイプ自体の厚みも薄く、大胆な肉抜き加工が施されています。ボルトはチタン製で、重量は当時としては軽量な190gです。
サドルは藤田シームレススーパーソフトです。スーパーソフトといいつつ、最近のサドルに比べるとクッションはかなり薄いです。
- サカエロイヤルその2:チェーンホイール
チェーンホイールもROYAL-5 ESLです。クランク裏側にも軽量化のための溝が最初から掘られています。歯数は51×42Tです。純正のチタンBBシャフトも持っていますが、残念ながらBBワンがありません。手持ちのスギノ軽合ワンといくつかのサイズの小径バラ玉ベアリングとの組み合わせでは結局適合しないため、現時点ではスギノシールドBBセットにESL純正チタンフィキシングボルトを組み合わせてあります。
- サカエロイヤルその3:ハンドルバーステム
ステムもロイヤルESLの110mmが入手出来ました。チタン製の引き上げ棒とボルト類、軽合ウスに加えて、クランプ部の肉抜き、突き出し部の中空化により、当時としてはかなり軽い部類のステムです。
ハンドルバーはロイヤル978という製品で、チネリクリテリウムに似た形状のものです。むしろ、このハンドルバーのほうがステムよりも手に入らないかもしれません。このバーはフェルール部分が短いのですが、私の好みで綿テープは途中まで巻き、はがれ止めのために赤いビニールテープで固定しています。綿テープは久し振りですがハンドルが細く見えますね。
- 変速機と駆動系
前後変速機とWレバーは当時のシュパーブのセット、フリーホイールはサンツアーウイナーのウルトラサイズ7段で、当時は126mmリヤエンドに入る世界初の7段だったと思います。
ハブは年代的にずれていますが、シュパーブプロのボスフリータイプで130mm幅のものです。126mm幅なら比較的容易に手に入るのですが、130mm幅のボスタイプは意外に出回っていないようです。
ペダル回りは極東プロエースロード軽合プレートが手に入りましたので、当時使っていたクリストフのトークリップとストラップと組み合わせています。
- ブレーキ
ブレーキ本体は吉貝NGC400の後期タイプで、クイック機構はフリーストップになっています。リターンスプリングの前側にはサンツアースプリントのブレーキのスラストベアリングを組み込んでみました。ブレーキシューもスプリント用ですが、意外に効きがよく、充分な実用性があります。それにしても最近のブレーキに慣れていると、当時の製品はバネが強く、今回組み付けるにあたってバネを少し弱めてあります。
リフレクターは77年頃に発売されたキャットアイのロード用で、当時購入したものです。
3.スペック
注.以下は2016年10月現在の仕様です。
フレーム |
基本仕様 |
丹下No.2フルセット、ショートポイントイタリアンカットラグ、セミスロープフォーククラウン、シマノUFロードエンド、丹下レビン軽合スレッドタイプ(ITA)ヘッド小物、カンパニョーロWレバー台座、BB上部カンパニョーロタイプ変速ワイヤーリード3点、ボトル台座×2、フォーククラウン裏/ブリッジ補強板・・・など
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寸法 |
フレームサイズ:570mm(C-T)、トップ:550mm、 リヤセンター:410mm、フォークオフセット:45mm、BB下がり:70mm、シートアングル:74度、エンド内巾:F100-R130mm
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塗装 |
パールホワイト+レッド胴抜き(ヘッドチューブ、ダウンチューブ)、ヘッドラグ/フォーククラウン/エンド当たり面メッキ、シートステー上部/フォーククラウンに"Nakajima"オリジナル彫刻加工 |
ホイール |
ハブ |
サンツアーシュパーブプロ(100-130mm 36Hボスフリータイプ) |
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タイヤ |
ビットリア オープンコルサ EVO-CX(700×20C) |
駆動系 |
チェーンホイール |
サカエ ロイヤル5-ESL(51×42T、170mm) |
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ボトムブラケット |
スギノ マイティシールドBB(サカエESLチタンフィキシングボルト) |
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フリーホイール |
サンツアーニューウイナーU7(13-14-15-16-18-21-24T) |
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トークリップ |
クリストフ スペシャル |
変速機系 |
フロント変速機 |
サンツアー シュパーブ(FD-2000) |
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リヤ変速機 |
サンツアー シュパーブ(RD-2100) |
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変速レバー |
サンツアー シュパーブ(LD-2050) |
ブレーキ系 |
ブレーキ本体 |
吉貝 NGC400(ブレーキシューはサンツアースプリント) |
ハンドル系 |
ハンドルバー |
サカエ ロイヤル978(400mm) |
サドル系 |
サドル |
藤田 シームレススーパーソフト(ブラウン) |
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シートピラー |
サカエ ロイヤルESL(27.2mm) |
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コンピュータ |
キャットアイ CC-CL200(レッド) |