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Part93:1974年 ブリヂストン ダイヤモンド&スーパースピード

1974 bridgestone  Part93は1974年のブリヂストンダイヤモンド&スーパースピードのカタログです。このカタログは70年代初頭にサイクリングに目覚めた世代の方には馴染み深いものではないでしょうか。
 ダイヤモンドシリーズはスーパースピードという歴史有るシリーズの次の世代として出てきた本格的なスポーツ車のブランド名で、ブリヂストンはこのシリーズあたりから、自社の技術やスポーツ車に関する会社としての考え方をカタログ上でも強くアピールし始めたように思います。
 今回ご紹介するカタログはほぼA4横サイズ、表紙含めて16ページのもので、スーパースピード2車種、ダイヤモンド11車種の全13車種が紹介されています。当時の他のマスプロメーカーも同様ですが、ツーリング車、キャンピング車、快走車、ロードレーサー、トラックレーサーが一通りラインナップされています。
 なお、DT-6110、DC-6115、DF-7110、RR-7110、TR-7000・7100は、\10,000のアップチャージでレイノルズ531チューブでの受注も可能だったこともセールスポイントとなっていました。

 以下、最初の2枚の画像以外は拡大画像も掲載しており、各画像をクリックすると別ウインドウで拡大画像が表示されます。

 最後になりますが、このカタログはT様のご協力により掲載致しました。この場を借りて御礼申し上げます。

カタログのご紹介


1974 bridgestone 表1・表4
表紙と裏表紙を広げたものです。車種はDF-7110です。



1974 bridgestone 表2・P1
 今でいうイメージキャラクターのローベル・ヴァンランケルの語りで、ブリヂストンのスポーツ車の優位性を述べています。
 ローベル・ヴァンランケルは当時のプロスプリント競技の世界チャンピオンです。



 このページから2ページにわたって「スポーツ車を科学する」というテーマで、5つの観点について、技術的解説とメーカーとしての考え方を述べています。内容的にはさほど高度なものではありませんが、トップメーカーとしての自負のようなものを感じますね。

1974 bridgestone P2

1974 bridgestone P3


1974 bridgestone P4
 ここから各車種の紹介となります。最初はいわゆる輪行の出来るランドナーで、このカタログでは携行用ランドナーと称しています。車種名DT-6110は、ダイヤモンドツーリングの略号DT、26インチホイールの6、フレームサイズが1種類の場合の1、10段変速の10の組み合わせとなります。
 当時のマスプロメーカー製高級ランドナーとして標準的な仕様で、クロモリラグレスフレーム、杉野マキシイUチェーンホイールにサンツアーの変速機とWレバー、吉貝カンティブレーキ、藤田皮サドルなどが装備されており、当時の自転車雑誌の広告では重量11.95kgというのがセールスポイントでした。リヤガードは分割式でフロントフォークを抜く、いわゆるアルプス式の輪行となります。
 価格は輪行袋付きで\78,000で、これは当時の平均的な大卒初任給1ヶ月分とほぼ同じです。



1974 bridgestone P5
 このページではDT-6110の特長を解説しています。また、輪行には日本サイクリング協会の会員資格と手回り品キップが必要であることも書かれていますね。
 小さめの画像で紹介されているのは、DT-6110の普及版とも言えるSSQ-10で、フレームがハイテン(ハイテンションスチール)、チェーンホイールはアウターギヤの交換が出来ないマキシイT型、フロント変速機がCompe-VではなくSpirt、ブレーキレバーパッドが省かれるなどの装備で価格は\52,000でした。SSQ-10は比較的短命なモデルでしたが、そのコンセプトは1976年発売のユーラシアに引き継がれたと言ってもよいと思います。



1974 bridgestone P6
 キャンピング車のDC-6115です。当時のマスプロメーカーの多くは、ツーリング車のフラッグシップとしてキャンピング車をラインナップしていました。ブリヂストンのキャンピング車は歴史も長く、片倉シルクキャンピングと人気を二分していたと思います。車種名DC-6115は、ダイヤモンドキャンピングの略号DC、26インチホイールの6、フレームサイズが1種類の場合の1、15段変速の15の組み合わせとなります。
 仕様的には当時の国産キャンピングの定番と言ってよいでしょう。プロダイナミックのトリプルチェーンホイール、標準装備の4サイド、650×42Bのタイヤ、アルミボトルなど、典型的な仕様です。後変速機はユーレアルビーでした、キャンピング車定番のクロスドシートステーのクロモリフレームですが、2枚肩のフォーククラウンはBSオリジナルです。
 価格は\106,000でした。



1974 bridgestone P7
 このページではDC-6115の特長を解説しています。ギヤテーブルが掲載されていますが、ローギヤのF33T×R24Tというのは、現代ではコンパクトクランクのロードバイクの標準的ギヤ比のF34T×R25Tより、ほんのわずかですが重めです。このあたりに時代の変遷を感じますね。
 小さめの画像で紹介されているのはSS-10で、これも息の長いモデルでした。当時、夏休みに泊まりがけツーリングに出掛けると、あちこちの街道筋やユースホステルでよく見掛けました。どちらかと言えば、この頃は生粋のサイクリストというよりは、夏休みに自転車旅行してみようというような感じの人が乗っていたような記憶があります。価格は\52,000でした。



1974 bridgestone P8
 ファーストライディング車のDF-7110です。当時は、スピードを上げて快走を楽しむランをファーストランと称していましたが、そのための車種として発売されています。車種名DF-7110は、ダイヤモンドファーストライディングの略号DF、27インチホイールの7、フレームサイズが1種類の場合の1、10段変速の10の組み合わせとなります。
 フランス風のシクロスポルティーフとは異なり、キャリアの装備は無く、ロードレーサーにショートタイプのマッドガードを装備して、タイヤをWOとしたイメージです。日本ではまだ700CWOが一般的ではなく、ホイールサイズは27×1・1/4です。
 部品はほぼロードレーサーに準じており、マイティコンペのチェーンホイール、当時発売されて間もない吉貝グランコンペ500サイドプルブレーキ、鍛造ステムの吉貝グランコンペなどが装備された高級車です。価格は\94,000でした。
 いかにも当時のスペックだなと思うのがギヤ比で、F50T×46T・リヤ15〜24Tと、かなりのクロスレシオです。トップのF50T×R15Tはともかく、ローのF46T×R24Tというのはかなり重めですね。



1974 bridgestone P9
 このページではDF-7110の特長を解説しています。メッキ仕上げのイタリアンカットラグ、直付け加工を省いたフレーム工作が、当時の快走車の定番でした。
 小さめの画像で紹介されているのはDF-7110の普及タイプのFS-7110で、こちらはフレームの材質がハイテンとなり、チェーンホイールがマキシイ、サドルが皮張りでない藤田シームレス、ブレーキがダイヤコンペセンタープルとなるなど、フレームやパーツのグレードを下げることで、価格も\56,500とかなり安くなっています。なお、車種名の頭2文字のFSはファーストライディングのFとスタンダードのSを組み合わせたものと思われます。



1974 bridgestone P10
 このページはロードレーサー2モデルを紹介しています。RR-7110はクロモリフレーム、RS-7110・RS-7010はハイテンフレームの普及版です。普及版はフレームサイズが2種類用意されており、フレームサイズ510ミリの小さいモデルがRS-7010となります。フロントフォーク、シートステー、チェーンステーの剣先1/2メッキは当時の定番仕上げです。タイヤはもちろんチューブラーで、ソーヨー#100です。#100は重量370グラム、高さ26ミリ、幅25ミリで、当時としてもやや重めですが、道路事情からこのタイヤを選択したと思われます。
 フレームスケルトン、今はジオメトリと言いますが、73度パラレル、リヤセンター430ミリは当時の国産ロードレーサーとしてはごく普通の仕様です。ギヤ比はファーストライディング車を更にクロスレシオ化したもので、F51T×47T・リヤ15〜21Tと、今では考えられない組み合わせです。価格は、RRが\83,000、RSが\60,000でした。



1974 bridgestone P11
 このページはトラックレーサー2モデルを紹介しています。TR-7000・TR7100はクロモリフレーム、TS-7000・TS-7100はクロモリフレームですが、一部パーツのグレードを下げた普及版です。どちらもフレームサイズは2種類用意されています。車種名の後2桁は他の車種はギヤ段数ですから、シングルギヤの場合、本来は01だと思いますが、変速無しということで00にしたのかな?
 フレームスケルトンはどちらかと言えばスプリント競技向きでしょうか。タイヤはソーヨー#50SSのトラック専用英式バルブ仕様です。価格は、TRが\75,000、TSが\58,000でした。



 最後の2ページは仕様一覧表です。当時のブリヂストンのカタログはパーツのスペックは記載していますが、パーツメーカーや製品名の記載はありません。

1974 bridgestone P12


1974 bridgestone P13  

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