峠越えを中心としたサイクルツーリングの記録、ちょっと懐かしい峠みちやカタログ、70年代〜80年代のヨーロッパのロードレース、プラモデル製作などについてご紹介しています。
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Part100:1974年 片倉シルク スポーツサイクル
Part100は1974年の片倉シルクスポーツ車専用カタログです。
シルクについては、本ホームページで追憶のカタログ展を公開した初期の頃に車種別に掲載しましたが、掲載画像も小さく見づらい部分もあり、Part100に達したのを機会に、発行年別にあらためて掲載しようと思います。
1974年のカタログは縦A4幅狭の変形サイズでじゃばら式に開きます。掲載車種は以下の8車種です。
- PR10-4DX:パーフェクトクイックDX(デラックス仕様完全輪行車)
- PR10-4:パーフェクトクイック(本格設計の輪行車)
- SC15-4:キャンピング(フル装備キャンピング車)
- 27S-4:スピードマスター(快走車)
- 27S-4D:スピードマスターDX(デラックス軽量快走車)
- R2-4:ロードレーサー(実戦派レーシングマシン)
- PR10-4L:パーフェクトクイックL(婦人用輪行車)
- SR10-4:スピードマスター(本格的ツーリング車)
片倉自転車は、地味ながらも特にスポーツ車の分野では定評のあったメーカーです。競技の世界でも戦後の競輪発足時から使用され、オリンピック日本チーム使用車としてもヘルシンキ以来の連続出場を果たしているなど、多くの実績を持っていました。
スポーツ車はしっかりした設計とよく吟味されたパーツ構成で、特に70年代〜80年代初頭くらいまでは、マスプロメーカーのスポーツ車としては最高水準にあったと思います。
その後、プラザ合意にもとづく急激な円高、MTBを中心とした台湾やアメリカの台頭などの要因により、日本の自転車メーカーが急激に国際競争力を失う中、メーカーとしては弱体だった片倉自転車は、三和自転車グループの一員となりましたが、残念ながら90年代後半に廃業となりました。
ちなみに私の最初のオーダー車も片倉シルクのロードレーサーで、私のようなホビーサイクリストでもフレームオーダーが可能でした。画像は当時のオーダーシートで、1974(昭和49)年、17歳の時にオーダーしました。
フレーム仕様やパーツ構成はこのカタログに掲載されているR2-4の仕様にほぼ準じたもので、寸法と塗装がフルオーダーです。前後変速機は当時発売されたばかりのサンツアーサイクロンでした。
今回の掲載にあたっては、保管してある43年前のカタログをスキャンし直し、痛んでいる部分は画像編集ソフトで極力修正していますが、お見苦しい点があることはご容赦願います。
カタログのご紹介
表紙です。
パーフェクトクイックDXをポスター風に見開きで掲載しています。
パーフェクトクイックDXをポスター風に見開きで掲載しています。
パーフェクトクイックDXの仕様を紹介しています。当時のマスプロメーカー製輪行車は、メーカー独自のフロントフォーク脱着機構、分割式リヤマッドガード、クイックシートピンの採用が定番だったように思います。
こちらは標準仕様のパーフェクトクイック。カンザシタイプのガードステーやフロントフォークに取り付けられたヘッドランプにアルプスクイックエースの影響が見てとれます。
当時は多くのマスプロメーカーが4サイドのキャンピング車をラインナップしていました。フレームはクロスドシートステーのハイテンラグレスで前フォークのみクロモリ。ギドネットレバーに"JOS"型テール。チェーンホイールは当時最新のサカエカスタム3です。単1×3本の防水式バッテリーランプが質実剛健ですね。
スピードマスターは27×1・1/4のタイヤを装備した快走車です。快走車といいながらリヤキャリヤも装備し、ギヤレシオもF48×36T、R14-24Tのミドルレシオとなっていて、舗装路主体の軽快な旅行車という感じです。
スピードマスターDXはフレームがクロモリフルセットでボトルケージ台座やポンプベグなども直付け工作が施されています。杉野プロダイナミックチェーンホイール、軽合金リムにクイックハブ、サカエのカンパタイプシートピラーと革張りサドルなと、パーツが大幅にグレードアップされています。また、標準仕様のスピードマスターとともに、充分な長さのマッドガードが装備されているあたりに片倉シルクの設計者のセンスを感じます。
当時のシルクの看板車種と言ってもよいのがR2ロードレーサーです。クロモリフルセットのラグレスフレームに二段肩の丸フォークが特徴的です。当時このロードレーサーに憧れた私は、ほぼこの仕様でフレームサイズ570mmのロードをオーダーしました。
こちらはミキストタイプのフレームのパーフェクトクイックです。「婦人用」と書かれているところに当時の雰囲気を感じますね。その頃の大学サイクリング部の女子部員の自転車は、このタイプがポピュラーだったと思います。
この自転車は標準仕様のスピードマスターの26インチ仕様というところでしょうか。皮サドルやパニア台などを装備しており、その頃の夏休みにあちらこちらの街道筋やユースホステルで、ブリヂストンのSS-10に代表されるこのタイプのツーリング車に乗った自転車旅行の若者(笑)を見掛けたものでした。
裏表紙です。私は奥多摩方面にサイクリングに出掛けたときには、東京都福生市熊川にあった本社工場の正門にはよく寄り道したものでした。現在は団地やマンションが立ち並ぶ住宅地になっています。